《魔入間》参りましょうMyGirl！4

158:教師、批難 ページ35

職員会議を終え、毎日懲りもせず喧しい問題児達をまた朝から怒鳴るべく扉の前に立つ。が、

「(…静かだな？)」

薄気味悪さを感じつつ入室する。此方に注目する…13の、

「オイ、入間…。

Aはどうした？」

いつもの光景のなかに、いつもの姿がいない。…足りない。
また頼まれ事か？こんな朝から？
見ると全員…特にウァラクとイクスが酷く萎れていた。入間が口を開く。

「Aは…
―――――風邪で休みです」
「は？」

そんな報告は理事長からも、まして本人からも受けていない。携帯を確認しようとしてすぐに生徒の前であることに気づく。

「皆でAちゃんのお見舞いに行こうと思ったの。でも凄く大変な風邪だから会っちゃいけないって…」
「昨日お外でお昼寝しちゃったから？！」
「…ううん。ちょっと最近いろんなことがあって、…疲れが出たんだと思う。皆のこと気にしてたから、後でMINEとか送ったら絶対喜ぶよ！」
「うん…っ」
「…事情はわかった。席に着け、入間はHR後私の元へ来い」

押し黙ったまま素直に席に着く問題児達を見やりながら、胸ポケットの携帯がいつ震えるかと気を散らしていた。

▷▶︎▷

「何か重大な病気というわけではないんだな？」
「はい…まあ、…風邪のほう、は…」
「なんだ、ハッキリ言え。」

廊下に呼び出した入間は先程から気不味そうに目線を落としている。なかなか明確にならないAの状況に苛立ちを募らせ、そう言うと

「―――ご自分でAに訊いたらいいじゃないですか」
「…なに？」

眉をつり上げた入間の似合わぬ口ぶり。睨みにすら怯まずに、

「A、昨日…カルエゴ先生に呼び出された後から元気がなかったんです。気づかなかったんですか？」
「私に叱られたからとでも？アイツがそんな下らん理由で「Aの気持ち全てが分かりますか？」…」
「僕は、…僕だって未だにわからないことがあります。ずっとAを見てきて、Aのことをずっと好きでいる僕だってわからない…っ。
カルエゴ先生はｯ…カルエゴ先生には訊ける術と関係があるじゃないですか？！だったらちゃんと、Aに直接言ってあげてください！…失礼します！」

言い切ったくせ脱兎のごとくその場を離れた入間に、それでも反論する余裕も資格さえもなかった。奴の言うことは当然で、その自覚は充分にあった。

目元を押えながら長く息を吐き、壁に寄り掛かる。

「ﾁｯ…流れるように喧嘩売ってきたなアイツ…」

報せは未だ、鳴らないまま。

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