140:少女、我儘 ページ11
『っ…?』
露出した肩に寒気がして震えた。会場は十分に暖房が効いているはずなのに。
「イヴさん?どうしたの?」
『なっ…なんか凄く大変なことが起きてる予感がする…』
「あら。それって
―――この私との結婚をかけた勝負より、大変なこと?」
「続いての種目は!
プレゼントは私♡掴めその手に!アクドル大騎馬戦!!」
イルミとメリーさんと共に大将のくろむちゃんを支える。メリーさんがほぼ担ってくれているので、手を添えるだけになりかけているけれど。
「イヴ。もう一度確認なんだけど…」
『なに?イルミ』
「結婚はギャリーを焚き付けるための嘘なんだな?」
『は、はい…。メリーさん?』
「そっか。」
「ならば、」
「絶対に勝ちましょう…ッ!」
「この大会は即刻終わらせるッ…!」
気合十分なイルミとメリーさん。前と右隣からの熱気が凄い。
『が…頑張ろう、ね…?』
「「おう!!」」
「こっちの2人も焚き付けちゃったわね…」
頂上でくろむちゃんがやれやれという素振りで呟く。結婚宣言は、―――咄嗟についた嘘だった。
「リリス・カーペットの富豪の話を覚えてる?」
その場から離れ、くろむちゃんが私に問いかけた。ざわめきが止まない会場と私達の空間に流れる静寂がやけに際立つ。
「ギャリーは富豪なの。地位も名誉も、欲しいものは必ず手に入れる強欲な富豪。
そして私は彼女の欲しがっている宝石…憧れの象徴。だからこそ私は手に入ってはダメなのよ。
愛は、手に入ったその瞬間から薄れていってしまうから。」
…そう、なのだろうか。手に入っても尚、焦がれ追い続けることもあるんじゃないか。
だって人は簡単に手に入らない。関係を手にしても、心を掌握しても
―――…人を所有しておくことは、とても難しいものだから。
『(薄れてしまう日が…あるのかな)』
手に入ったことに安堵して。
あれほど大切にしていたのに、持て余してしまう日が。
私も、…あのひとも、
そんな日が来ることに、身構え怯えていなければならないのだろうか。
「私が輝けば輝くほどギャリーも手を伸ばして上がってきてくれる。…私はね、Aさん。
そんなふうにキラキラ輝く彼女を見られる特等席を、奪われたくはないの。」
その時彼女は、今までのどんな笑顔よりも輝いていた。そうして再び認識する。彼女は欲に忠実な悪魔で
”傲慢の歌姫”なのだと。
強欲と傲慢。似ているようで違うふたりの”ワガママ”は、今。…死闘のような騎馬戦を繰り広げていた。
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kanayamamoto112(プロフ) - 参りましょうmyGirl4でのカルエゴ先生がヒロインちゃんにアクドル大運動会で着てた衣装を着せて王の教室にある部屋の1つ仮眠室のベットで押し倒して大胆な事をしてたシーンはドキドキしました。 (2022年10月11日 13時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - カエデさん» コメントありがとうございます!このカルエゴ先生を見れるのは彼女の特権ですね!キャラ崩壊しすぎないよう先生には気をつけてもらわねば…!(ブーメラン) (2021年8月16日 15時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
夜雨(プロフ) - ルカさん» ご名答ですッ!うちのカルエゴ先生は拗らせに拗らせてるのでいつか爆発させるときをそれはもうにやにやしながら進めています…やばいこと…されましょうね……! (2021年8月16日 10時) (レス) id: d267c079da (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - カルエゴ先生いつもは「厳粛」なのに最近は何か少し可愛い感じが!←語彙力よ 続きも楽しみにしてます! (2021年8月15日 8時) (レス) id: d16705dd13 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - キスから見るにカルエゴ先生いろいろ拗らせてそうですごくイイ。爆発したら夢主ちゃんヤバイ事になりそうだけどすごく楽しみです (2021年8月14日 17時) (レス) id: 560b2d19f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜雨 | 作成日時:2021年7月3日 18時