取り敢えず逃げよ。【五条悟】

4話 ページ5

バン、と大きな音を立てて扉が開かれる。

教室の入口へと目を向ければ、そこに居たのは我等が担任五条悟。

「皆ー！任務だよー！」

ニッコリ笑いながら任務内容を告げてくる。
I県での呪霊討伐、等級は2級から3級がうじゃうじゃと。

メンバーは高専1年の狗巻棘、禅院真希、乙骨憂太。

パンダと担任に行ってらっしゃ〜い、なんて軽く見送られ、教室を後にした。

ーーー

「終わったか？」

「しゃけ」

任務地に着くなり帳を下ろして呪霊を祓う。
確かに量は多いが落ち着いて1つずつ祓えば大丈夫だ。
任務は1時間程で終わった。本当に数が多かった。

「、！子供がいる！」

そう叫んだのは憂太。
4人(3人と1匹)が駆け寄ると、2人の子供が居た。
なんとなく、担任を思い起こさせたのは真っ青な瞳と白い髪色のせいか。

「君達、大丈夫？」

「うん...やつる、大丈夫？」

「大丈夫だよ！ママの所に帰ろ！」

やつる、と呼ばれた男の子が女の子の手を引いて廃ビルから出て行く。
もう変な所入んじゃねーぞ、と一言。
うん！と元気な2人の声が聞こえた。

「さ、帰るかー。」

「結局何だったんだろうな。」

「高菜！」

棘が指を指した先にはさっきの子供と母親らしき人。
母親は私達に気が付くと、駆け寄って来た。

「あの、2人を助けてくれてありがとうございます...」

「いや、大丈夫ですよ。ね、怪我無かった？」

憂太が腰を下ろし、女の子と目線を合わせる。
人たらしだな、と心の中で悪態を吐きつつ女性と向き合う。
すると、突然棘のお腹から音が鳴った。

「ッ、おかか！こんぶ！」

顔を真っ赤にする棘。
女性は少しキョトン、としたあとふふっと軽く笑い、大変魅力的な提案をして来た。

「あの、お礼によかったらご飯食べて行きませんか？」

ーーー

Aさん──名前を教えて貰った──にお昼をご馳走になり、少しだけ子供達と遊んだ。

女の子は奏恵、男の子は萃瑠。
2人と3人でAさんに写真を撮って貰った。

ありがとうございます、とお礼をして別れ、帰路に着いた。

ふとアイツ(悟)に送り付けてやろうと思い立ち、トーク画面を開く。

真希任務先で会った子と1枚。ご飯もご馳走になった。美味かったぞ。
真希(真ん中に子供が2人、その後ろに左から憂太、真希、棘と並んだ写真)
五条☆悟は?

冷たい返しに寒気がした。

因みに、3人は高専に戻れば五条悟による尋問が始まるのだが───3人はまだそれを知らない。

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