42.路地裏に隠した御伽噺 ページ43
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見られてた。いつからかもわかんないし、誰かもわかんない。
入り組んだ路地裏の日陰に建ってる電器屋は昼間でもそいつの顔も分かんないぐらいには暗い。
それより何より、腕組んで壁にもたれかかりながらのその発言がすっごい鼻についた。
『お言葉だけどねぇ、急に現れてそんな体勢で おもしれ〜ヤツ。 って言われてキャアステキってなると思ってんの?僕が女顔だからって舐めないでよね』
そういうとソイツは何やら早口で話し出す。なんかキュルキュル言ってて若干怖い。
??「じゃあ僕も言わせて貰うけど おもしれ〜ヤツ。 とは言ってないし掛ける言葉が分かんなくなってテンパって出ただけの言葉でそんなに揚げ足取ってぎゃいぎゃいかみつく暇があるならそのどうしようもない歌からなんとかすれば良いのになんで・・・」
そこまでノンストップで捲し立てて急にハッと息を呑んで押し黙るそいつ。
彼は僕の方をチラリと見てまた言葉をぽろぽろ落としていく。
??「なんで上手くないのに、楽しそうなの・・・?」
顔は見えてないけど、なんでか彼は泣きそうな気がした。
涙が零れるその前に、遮るように言葉を羅列する。
何を言ったか、何を言われたか、必死過ぎて覚えてない。
でもその後からは鮮明に覚えてる。
”ソイ”がいつの間にか目の前にいたんだ、びっくりしたから忘れない。
ソイから顔を隠したくて、近くで見られるのがすっごく嫌で。
前髪をぐしゃぐしゃにして顔を隠そうとしたけどソイがその手をギュッて掴んで、言ったんだ。
「大きな目も、ふわふわの髪も、全部素敵なお姫様だから、隠さないで僕だけに見せて」って。
いつもだったら、女じゃないって反発してたけどお姫様でいいんだって思った。
コンプレックスもチャーミングなお姫様になるための、スパイスなんだって。
嬉しくって、たまらなくって、何だか動き出したくなって。
変なテンションのまま、僕は踊ろうよってソイを誘ったけど断られた。
楽器の方が性に合うって困ったように笑いながら金ぴかのトランペットを取り出した。
さっきは王子様みたいだったのに、今はどっちかって言うと王宮就きの楽器奏者みたいだった。
少し残念だったけど良いんだ。
だって、お姫様が王子様と結ばれなきゃいけないなんて決まってないんだから。
そう思いながらソイを見ると、その視線に訝しげに首を傾げて演奏を続けていた。
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!魔入りました入間くんのキャラ全員推し(つまり箱推し)なので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月11日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
傚苺やと(プロフ) - ハルさん» ひぇ...ありがとうございます...💞💞不意打ちに弱い夢主君すこってってやってください😊😊 (2021年12月18日 0時) (レス) id: 6adeaaad5d (このIDを非表示/違反報告)
ハル - この作品好きです!夢主君が相手から攻められるのは照れるとことかが好きです!!更新頑張ってください! (2021年12月4日 12時) (レス) @page35 id: a05b0687be (このIDを非表示/違反報告)
傚苺やと(プロフ) - ポウさん» ひゃ〜!!!ありがとうございます!!ゆったり続けて行きますので暖かく見守って頂けると嬉しいです(*´˘`*) (2021年10月2日 3時) (レス) id: b262b490af (このIDを非表示/違反報告)
ポウ - もうこのお話大好きです!次どうなるんだろう🤔続き楽しみにしております!これからも頑張ってください! (2021年9月28日 0時) (レス) @page23 id: 73de415c6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:傚苺やと。 | 作成日時:2021年8月20日 4時