【魔入間】A組のプリン(セ)ス【男主】

20.平穏 ページ21

学校に連れていく為にノアールをバッグの中に入れ、登校する。


細心の注意を払ったからノアールも怯えることなくバッグの中でお魚クッキーを食べ続けてる。


ホントに、ノアールが俺のお家に来てくれたらな。


でも、ノアールだってきっと家族が居る。


この種の念子は普通の念子とは違って森で生きる念子。



飼っていた念子が逃げ出した、よりは裏手の森から迷い込んだと考えるのが妥当。

『なぁ、ノアール。今日俺とお前で森お散歩しよっか』


ノアールはクッキーを口から溢しながら元気に鳴いた。


この際、授業なんてサボりだサボり！


この前購買で買った認識阻害グラスを掛け、ノアール入りのバッグを抱き抱えて森に抜ける。


森に入った途端、ノアールがそわそわしだす。


分かってるよ。


お前の家族はここに居るんだろ。


ノアールを最後に一度だけ撫でると指に鋭い痛みが走った。


戸惑っていると突然バッグから飛び出して俺の顔を舐めるノアール。


今、涙出てるからしょっぱいぞ。


ほんの一日一緒に居ただけなのに、どうしようもなく大好きになってしまった。


泣き止めない俺を見かねてか再度指を噛むノアール。


なんか、男の子なんだから泣き止め！って言われてるみたいだ。


目の前に大きな影が差す。


『ほら、ノアールお迎えだ』


ノアールはするりと俺の腕から抜け出した。


目の前の大念子はノアールを大事そうに舐めて、俺に会釈した。


俺も釣られて会釈した。


のしのし、と巨体を揺らしながらノアール達は去っていく。


元気でな、と呟くとまたツンと鼻の奥が痛んだ。






それから僅か二日後の事だった。


？？？「なぁ、あの黒念子の餌ってどれがええと思う？…試食しろって？名案やな！流石俺の使い魔！」


…どうやら、アイツは逞しく生きているようだ。


『…２日でまぁた迷子とか、おバカ』


キラキラの瞳が潤んでいく様は容易に想像できてしまう。


お空は今日は曇りだけど少しだけ、ほんのちょびっと楽しい気分でいられそうだ。

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