64話 ページ29
.
『やだ、一人ずつ入る!』
「いいじゃん、せっかくの露天風呂なんだから」
いつもは仕方なく引き下がってくれていた神威だが、今日はどうしても一緒に入りたいらしい。
『神威絶対変な事する!普通の宿なのに!』
「それ言ってる時点で期待してんじゃないの?」
「3日も我慢できないくせに」と、神威だって同じのくせに挑発してくる。
言い返さないとただ私が恥ずかしいだけなのに、
図星すぎてなんて返せばいいか分からない。
「はは、ごめんね?一緒に夜桜見たいだけだから」
不貞腐れていると、今度は急に優しい口調で言ってきた。
『夜桜…?』
「丁度、お酒も用意されてるし」
そう言って熱燗の瓶を少し掲げて見せる。
” お前ら未成年じゃなかったっけ? ”
そう思ったそこの君、
海賊だからセーフなんだよ!
「一緒に見よう?」もう一度言って、困ったような表情をした神威に負けて、
なんだかんだ脱衣所へと向かってしまった。
-----------------------------
少しだけ肌寒い外。
お湯が冷めてしまわないのだろうかと仕組みを考えながら、
早めに体と髪を洗って、初めての露天風呂に爪先を入れようとした時だった。
もう既にお湯に浸かっていた神威の手が伸びてきて、
体に巻いていたタオルが剥ぎ取られた。
『うぉぉぉあ!のび太さんのH!』
「誰がのび太さんだよ。
あと、しずかちゃんはそんな色気のない叫び方しないだろ」
あれ?そんなに色気のない叫び声だった?
でも私思うんだよ。
人間咄嗟に「きゃぁぁ!」なんて言わなくね?
神威に心の中で文句を言いながらお湯に浸かると、思ったよりあったかくて、
何か全部どうでもいいような気分になった。
「でも俺、しずかちゃんみたいな腹黒そうな女嫌い」
『私ものび太みたいなダメ男嫌いだな』
「のび太あやとりと射撃はできるじゃん」
786人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もへじ(プロフ) - さざんかさん» そう思っていただければ嬉しい限りです。綺麗な形で終わりは迎えられませんでしたが、最後まで読んでくれて、こちらこそありがとうございました! (3月27日 21時) (レス) id: e33c6b9410 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - お気持ちに共感します🥲虚無感のようなものを抱いた作家は、何も言わずに幕を閉じることが多いのに、あなた様は我々読者を慮って下さった🥲✨️本当にありがとう!あなた様はまさしく、神作家だ🥰ときめく話と幸せをありがとう! (3月27日 15時) (レス) @page44 id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - Seleneさん» コメントありがとうございます。そうですね、体調崩さない程度に頑張ります! (2022年8月24日 17時) (レス) id: da658d90ee (このIDを非表示/違反報告)
Selene(プロフ) - お星様が足りません!お体に気をつけてください!待ってます (2022年8月21日 1時) (レス) @page42 id: 447a5b673e (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます!この作品をそんな風に思っていただいて本当に光栄です。これからも応援よろしくお願いします!返信遅れて申し訳ありませんm(_ _)m (2022年3月6日 8時) (レス) id: 89a3943bf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もへじ | 作成日時:2020年8月5日 12時