62話 ページ27
神威side
『おぉぉぉ!』
宿に着くなりまたはしゃぎ始めたA。
昼間あんなに歩いたのに、タフな奴だ。
部屋の中は、別に煌びやかな訳でもないし変な仕掛けがある訳でもない。
でも、綺麗だなと自然と思わせる部屋だった。
『神威!見て!外に風呂ついてるよ!』
「変なのー」と言いながら興味津々に観察している。
初めてとはいえ、あまりの無知さに少し笑ってしまう。
「あははっ、A、それ露天風呂って言うんだよ」
昼間と同じように、はてなマークを頭に浮かべ復唱し出した。
やっぱりAに色んな事を教えるのは楽しい。
予め調べてきてよかった。
「ほらA、
早くしないともうご飯用意されてるよ」
『え!?ご飯!ちょっと待って!』
道中、そんなに珍しいのか、勝手にどこにでも行こうとしてしまうAを引きずりながら料亭へと向かった。
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『んんまぁ!』
出てきたのはスシ、とかテンプラ、とか見たことないものばかり。
隣にいるAは絶えず目を輝かせている。
俺も地球に来て食べたものといえば、団子か白米か、漬物ってやつも食べたことはあるけど、
今食べてるのはそのどれより豪華で美味しかった。
実はこの宿、吉原の一番いい宿で、
鳳仙の旦那が死んだ後に建ったらしく、そういう事をする場所でもない。
相変わらず経営してるのは遊女だけど。
でも、元々夜兎が居た街なので飯の量も考えてくれてるし、
俺たちは鳳仙を殺した英雄的な設定になってるから沢山サービスしてくれる。
今度来ることがあったらまたここに泊まろうかと思う程だ。
そんなことを考えながらぼーっとAを眺めていると、
俺の前のスシを一つ、そっと盗んで行った。
いや、流石にバレるだろう。
逆にバレないと思ったのだろうか。
『ご、ごめん…、おいしくて…』
得意の貼り付けた笑みをすると慌てて謝り始めるA。
と言いつつも一生懸命俺から盗んだスシを頬ばってる。
まぁでも、
『えっ……』
「いいよ、俺スキヤキの方好きだから」
Aが幸せそうなら、
たまには譲ってやらないこともない。
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もへじ(プロフ) - さざんかさん» そう思っていただければ嬉しい限りです。綺麗な形で終わりは迎えられませんでしたが、最後まで読んでくれて、こちらこそありがとうございました! (3月27日 21時) (レス) id: e33c6b9410 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - お気持ちに共感します🥲虚無感のようなものを抱いた作家は、何も言わずに幕を閉じることが多いのに、あなた様は我々読者を慮って下さった🥲✨️本当にありがとう!あなた様はまさしく、神作家だ🥰ときめく話と幸せをありがとう! (3月27日 15時) (レス) @page44 id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - Seleneさん» コメントありがとうございます。そうですね、体調崩さない程度に頑張ります! (2022年8月24日 17時) (レス) id: da658d90ee (このIDを非表示/違反報告)
Selene(プロフ) - お星様が足りません!お体に気をつけてください!待ってます (2022年8月21日 1時) (レス) @page42 id: 447a5b673e (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます!この作品をそんな風に思っていただいて本当に光栄です。これからも応援よろしくお願いします!返信遅れて申し訳ありませんm(_ _)m (2022年3月6日 8時) (レス) id: 89a3943bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もへじ | 作成日時:2020年8月5日 12時