61話 ページ26
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時は進んで次の日の昼頃。
朝のうちに鬼兵隊の船に行って頼んだら、意外と快く承諾してくれて、
また子さんに至ってはノリノリで髪の毛まで結ってくれた。
前に自分でやったお団子なんかじゃなく、
簪だけで纏めるなんて高度な技を使っていた気がする。
初めて会ったけどいい人だったなまた子さん。
というか浴衣と着物って違うんだね。
そして今は小型船で到着し、やっと地球に降り立った所である。
『…あれ?そんなに暑くない』
花火大会は夜でも蒸し暑かったのに、今回は涼しくて、夜兎の私達にも過ごしやすい気温だ。
「ここって季節が4つもあるんだって。気温とか、天気まで全然違うらしいよ」
へぇーっと関心しながら神威について行く。
最後まで何処に行くか言ってくれなかったので背中を追うことしか出来ない。
途中で団子や饅頭をたくさん買ったが、店で食べることはせず、神威は地図を見ながらどんどん進んで行った。
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「よし、着いた」
ずっと和菓子屋さんのお品書きを見ながら歩いていた私だが、
そんな神威の言葉に顔をあげてみると、目の前はピンクの木が並んだ大きい公園みたいな所だった。
『わぁぁ!何これ、木に花が付いてる!』
木に生える花なんて見たことがないので、好奇心が湧いて仕方がない。
そうやって色んな木を弄る私を見ながら、
「桜って言う、地球にしかない花なんだって」
そう言って、少し大きめの桜の木の下にシートを敷き、隣に座るよう促した。
こうやって木の下で桜を眺めながらお酒を飲んだりご飯やお菓子を食べる事を” 花見 ”っていうらしい。
花火大会も綺麗だったけど、この桜も負けないくらい綺麗で、
さっき神威が言ってたようにまだ他の季節があるのだと思うとワクワクした。
(地球って綺麗なものがたくさんあるなぁ…)
文化の素晴らしさにつくづく関心する。
そんな事を考えながら、団子を咥えてぼーっと桜を眺めていると、
『きれい…』
ふと、無意識に漏れた言葉。
桜に対してもそうなのだけど、
今のはそうじゃない。
その桜の間から顔を覗かせたもの。
ずっと目を背けてきたものがあんなに綺麗だなんて。
生まれて初めて、太陽の姿を見た。
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もへじ(プロフ) - さざんかさん» そう思っていただければ嬉しい限りです。綺麗な形で終わりは迎えられませんでしたが、最後まで読んでくれて、こちらこそありがとうございました! (3月27日 21時) (レス) id: e33c6b9410 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - お気持ちに共感します🥲虚無感のようなものを抱いた作家は、何も言わずに幕を閉じることが多いのに、あなた様は我々読者を慮って下さった🥲✨️本当にありがとう!あなた様はまさしく、神作家だ🥰ときめく話と幸せをありがとう! (3月27日 15時) (レス) @page44 id: 0d4c90c531 (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - Seleneさん» コメントありがとうございます。そうですね、体調崩さない程度に頑張ります! (2022年8月24日 17時) (レス) id: da658d90ee (このIDを非表示/違反報告)
Selene(プロフ) - お星様が足りません!お体に気をつけてください!待ってます (2022年8月21日 1時) (レス) @page42 id: 447a5b673e (このIDを非表示/違反報告)
もへじ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます!この作品をそんな風に思っていただいて本当に光栄です。これからも応援よろしくお願いします!返信遅れて申し訳ありませんm(_ _)m (2022年3月6日 8時) (レス) id: 89a3943bf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もへじ | 作成日時:2020年8月5日 12時