団長、そろそろ通報していいですか？

28話 ページ30

『…ん、........』



気がついたら机の上に座ってて目の前に広がる書類。


(…疲れてたのかな)

仕事の途中で机に突っ伏して寝てしまったらしい。





今日はもう休もうと私服に着替える途中、

ふと、姿見に映った自分の背中が見えた。






＿＿＿やっぱり諦めよう。






そう団長への想いを否定するのは、


背中に痛々しく残った大きな” 傷跡 ”。




本当は気付かないふりをしていただけ。

ちゃんとわかってたんだ。



なんでこんなに寂しいのかも、

キスされて嫌じゃなかった理由も、



…セクハラを許してしまうのも、









団長が好きだ。


たったそれだけの簡単なこと。





でも、私はそれを伝えない。



この傷に誓ったんだ。


どうせ傷つくなら誰も愛さないって。






『........ッ！…』


嫌なことを思い出すと傷が疼く。

中から抉られるように痛い。

私に向けた呪いのように。






無意識のうちにその場に蹲り、涙を流していた。





諦めたくない、団長と離れたくない。






そんな考えが浮かんでしまえばもう戻れなくなっていて、






思い出したくないことも次々と蘇ってきた。




......................................................



突然ですが次回から過去編入ります。

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