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第五話 ページ5

そしてあの日を皮切りにこの学校は見る目も消えるほどの早さでどんどん落ちぶれていってしまった。
何よりも噂されていた統廃合の話がいよいよ可決されてしまい、教師のやる気は低迷の限りを知らず残された生徒達の悲痛な叫びも虚しく廃墟同然と言っても遜色ない外観へと変わってしまったこの学校。
あんなにやる気に満ちていた新任の杉虎之助先生も数ヶ月経った今となっては立派なダメ教師へと成り下がっている。
そしてその姿をどことなく寂しげに見つめる久坂。

 いつだったかまだ杉先生があの暑苦しさを残している時に橋の近くのベンチで抱き合っているのを見た事がある。
最初はどういう関係?と疑問に思ったが久坂の性格とあの熱血だった先生の人の良さからして大方"統廃合されそうなこの学校を少しでも良くしよう"なんていう夢物語を語り合ったのだろう。
けれど、語り合ったその意思を数ヶ月経った今も尚宿し続けているのは生徒である久坂だけだ。
それ自体は何も不思議なことではない。
生徒はあくまで生徒。
子供はあくまで子供でしかない。
左を向けば左となり、足並みをあわせることが重要とされる社会人にとってそれは間違っていると知っていてもその輪から抜け出して正しい道へ修正していこうとすることは並大抵の精神力では出来ない。

最初から久坂と杉先生の目標に対するリスクは同じではなく、杉先生はそのリスクに負けてしまっただけの話。

何も悲しむことも憂うこともない。

「無いんだけど・・・・・・なんだかなぁ〜」

 開いてあるノートの上に項垂れながら、手に持っていたシャーペンを転がした。
杉先生以外にも、あの謎な三人組が次の日には静かに睨み付けていたうちの学校内で見かけた様な気がしたのだが、その日以来今に至るまで一度たりとて見ていない。
思考回路に霧がかかったように頭がモヤモヤして溜息ばかりが口から漏れる。

「日置くん〜」

 気がつけば何となく目の前に座るクールな日置くんの名前を呼んでいた。

「煩い、授業中」

 流石は真面目と心の中で関心半分、バッサリ切り捨てられ切ない半分でまた溜息を漏らす。
別に自分のことを真面目だと思ったことはない。
何なら真面目に不真面目、しくよろってへっ・・・・・・な〜んて莫迦な思考をするくらいには箍を外している。

けれど、意外と好きだったのだ。

――未だ荒れ始めた頃、一人せっせと日が暮れる中で必死に汚れを落としていたあの杉虎之助が・・・・・・

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nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています!3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです! (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nanase。 | 作成日時:2020年4月11日 1時

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