第三十三話 ページ33
「ダメ教師は嫌いですが・・・・・・」
「おっさん相手に大人数ってのも・・・・・・」
杉先生を見ながらこの場においてはなんとも刺激的な発言をする高杉と入江。
そして静かにブレザーのボタンを外しながら
『胸クソ悪ぃンだよ』
そう言って高校生達へ敢えて喧嘩を売った。
何故そんなことをしたのかなんて考えなくても判る。
注意をそちらに向け,私達を不良高校生達から護る為だ。
けれど、だからといって彼等が暴行されていい理由になんてならない。
「ダメッ――」
一瞬遅れて危険だと立ち上がれば、側に居た吉田君に腕を掴まれて制止させられる。
「心配しなくても大丈夫だから。Aさんはここにいて」
「でも――」
久坂の次は杉先生。
そして今度はあの二人とはとてもじゃないが、黙って見ていることは出来ない。
だからといって私には杉先生と高校生達の約束もあり、警察も呼べずに何も出来ない事が悔しくてしょうがない。
静かに怒りで拳を握ったその刹那。
始まりを告げる金属音に混ざって聞こえてくる痛々しい音。
けれど、地べたをはってやられていたのは他でもない高校生達だった。
心配した高杉達はというと、余裕綽々と向かってくる高校生達をなぎ倒す。
その様に私達の誰もが圧倒され、口を閉じることすら忘れて彼等を見つめる。
すると、なぎ払われた男達が丁度吉田君に当たって奥へと倒れ込んだ。
その瞬間、
「誰だ、今ぶつかったのは――」
前髪を掻き上げて邪魔だとばかりに縛りながら背中に当たった男を見つめた。
そして、"貴様か!"と、普段の吉田君では考えられない程の低い声で指差したあと、吉田君も乱闘に参加した。
その様子に誰もが唖然とする。
普通に転校してきたただの中学生が、ただの中学生であるはずが、実際はそうでないなんて一体誰が想像出来ただろうか。
その末、結局高校生達はあの三人組の手によって一纏めにされて上から何かを垂らされていた。
なんだかよく判らないが勝負はつき、私達は無事にここを出られることになった。
私の脳はとっくに考えることを止めて口すらあけたまま呆然としている。
「「何処が普通の中学生よ」」
澄まし顔で歩いてくる高杉達を見て滝先生と異口同音に声が漏れた。
明らかに普通では無い中学生三人にたじろぐ私と滝先生。
すると、吉田君が優しそうに微笑みつつ
「この事は学校の皆には内緒だよ。Aさんも」
と、言った言葉に私と大崎さんはただ首を縦に振るしか無かった。
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nanase.(プロフ) - りょうこさん» こんにちは。この度は本作品をお読みいただき誠にありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからも頑張って執筆致しますのでよろしくお願い致します! (2020年6月19日 20時) (レス) id: 62dfa2fa96 (このIDを非表示/違反報告)
りょうこ - 好きな作品なので、いつも楽しみにしています!3人ともカッコイイので、続きが待ち遠しいです! (2020年6月19日 0時) (レス) id: ba306ee394 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanase。 | 作成日時:2020年4月11日 1時