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Aと神威は宮殿の最奥部まで来ていた。推測通り、中の守りは薄かった。
辿り着いた部屋は本棚とテーブルが置いてあり、まるで何かの研究室だ。
そこに、眼鏡をかけた若い青年が一人。
「あなたが、前王を暗殺したのね」
Aが躊躇なく話しかけた。
「いかにも。僕は
「ええ。春雨第七師団の団長なの。とっても強いんだから。あなたは、兵士に農民のコスプレをさせてるのね。面白いご趣味をお持ちのようで」
「ああ。彼らは厳しい寒さで鍛えられた兵士。そこに僕が陶然草から作った薬で強くしたんだ。やりすぎると、宮殿に転がってる人達みたいな廃人になっちゃうんだけどね」
「へぇ。兵士達は自分の末路を知ってるの?」
「いいや。彼らは自分達に陶然草が盛られてることを知らない。春雨が土地を奪いにくるから、全員殺せ、と助言しただけだよ。彼らの服に塩を仕込んだのは僕。ああ、そろそろ彼らの正常な判断がつかなくなる頃だろうに」
「どうしてそんなことを」
「この星の土壌ごと、陶然草を宇宙から抹消するつもりさ。この星と陶然草は、僕の大切なものを奪ったから」
「そうだったの。塩まき農法でもやるのかと思ってた」
「塩まき農法?」
「聞いたことない? 土に塩を撒いて負荷をかけることで、作物の質が上がるのよ」
「なん……だと……?」
浦瑠に動揺が走る。それをAは見逃さない。
海賊らしい、悪い笑顔で嫌味たっぷりに応える。
「敵に塩を送ってくれてるのかと思ってたけど、違ったのかしらぁ?」
決まった、とドヤ るAの後ろで、神威が笑いを堪えている。腹立つ奴め。
なんて心の中で呟いていると、浦瑠が過去を語り始めた。
「……この星は、陶然草を取引するおかげで経済が潤っていた。だから、僕は薬 物について勉強することにした」
「これ長くなるやつだよね? 私君の過去編興味ないんだけど」
容赦なくAが遮る。だって寒い場所での立ち話って冷えるじゃん。早く終わらせて帰りたくなってきている。
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時