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──さっきまで、表情が暗かったのに。地球人てのは、現金なもんだな。
明後日のことを伝えてすぐ、心ここにあらずで暗い顔をしたAに、神威は戸惑っていた。
安全圏にいろと言ってあげたのに、あんな顔をするなんて。
──そんなに同胞が心配なのか。
夜兎を愛する阿伏兎なら、Aの感情を理解できたのかもしれない。
理解できなくたって困らないのに、理解できないことにもどかしさを感じる。普段なら、理解しようとすら思わないのに。
──これだから、地球人は面白いや。もっと知りたくなってくる。
でも、だからといって、A以外の奴隷を助ける義理はない。
他の奴隷がどうなろうと、神威達春雨にとってはどうでもよいことだった。
Aが悶々としているうちに、あっという間に破久星に到着してしまった。
やるべき仕事があったおかげで、集中している間は気を紛らわせられたのは良かったのかもしれない。
「じゃあ、A。俺達は破鳥の奴らと会ってくるから、絶対に船から出ないでね」
「……わかった。ご武運を」
神威と阿伏兎が団員を連れて宇宙船を出ていく。
奴隷は裏から運び出してるのか、姿が見えない。
──誰の配慮かな。神威か、阿伏兎か。
Aの目に映らないように、あるいは、一人だけ助かったAを奴隷達が見てしまわないように、鉢合わせないルートになっていることはすぐに解った。
Aが一人助かったことを知って、助からなかった奴隷から、妬まれたり恨まれたりする可能性が高い。
他の奴隷に比べて、それだけAの安全は配慮されていた。
──見たいもんでもないし、計算の続きでもするか。
踵を返して執務室に戻ろうとすると、外から揉める声が聞こえてきた。
「一人足りないんじゃないか」
「嫌だなぁ。んなこたぁありませんよ」
阿伏兎が宥めているが、もうバレてるらしい。
──チョロまかしても問題ない、って言わなかったっけ?
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夢宵桜(プロフ) - 琥珀糖さん» 読みにくくてすみません…。配色を少し変えてみましたが、如何でしょうか。 (4月1日 6時) (レス) id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - 色盲とかではないのですが、背景と文字の色が同系統すぎて読めません。可能でしたら変更して頂きたいです。 (4月1日 1時) (レス) id: 02d9a0ed5d (このIDを非表示/違反報告)
夢宵桜(プロフ) - 名無し5059号さん» 見えない色と見える色を教えて頂けますか? 私は色盲についての知識が浅いため、今の配色のどの部分が見えないか教えて頂けたら、対処法を考えられるかもしれません。 (2月16日 23時) (レス) @page46 id: 77ab0362c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し5059号(プロフ) - 色盲で文字が見えないけど対処法ありますか? (2月16日 22時) (レス) @page1 id: 427c7b5a4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢宵桜 | 作者ホームページ:https://lit.link/dreamfairy
作成日時:2023年12月13日 23時