続 ページ46
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そんな風に興味の惹かれるまま駆け回った末、迷子になったことも覚えている。
『……』
怖かったことを、覚えている。
いまだ高温を帯びたコーヒーを啜り、懐かしい思い出に瞼を閉じた。
そうだった。あの時、気が付けば一人になっていたのだった。
散々駆け回った彼女が不意にふと振り向くと、当然だが一緒にいたはずの誰かは見当たらなかった。
周りは知らない大人ばかりで、すれ違う人数が増えるにつれ、幼いAの恐怖と不安は募っていく。
それまで美しく思えた数多のバラもその時ばかりは恐怖の対象でしかなく、見渡す限りをバラに取り囲まれているような、窮屈な圧迫感さえ感じたのだった。
バラの一つ一つが私を見ている。
そんな愚かな被害妄想すら抱くほどに怯えた。
『愚かなことだ』
擦り切れそうな声で囁いた彼女は、また一口コーヒーを含む。
そうして瞼を開き、赤褐色いっぱいに庭のバラ園を捉えた時だった。
ふと、その続きを思い出した。
長い間磨硝子のようなフィルターで遮られていた記憶の続きが、Aの脳内で忽然と首をもたげたのである。
『……』
ゆっくりと見開かれていく二つの目。
高鳴る鼓動が、フラッシュバックされる記憶が、脳内の映像と強く結びついていく。
どうして忘れていたのだろう。
いや、どうして
自身の頭の出来が悪いことに絶望しながら、Aは窓際にマグカップを置いて部屋を飛び出した。
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お久しゅうございます
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にらもやし(プロフ) - ささはらさん» コメントありがとうございます。言葉選びにはとても気を使っているので、楽しんでいただけているようで大変嬉しいです。更新頑張らせていただきます。ささはらさんも勉強頑張ってね…！ (2018年3月4日 19時) (
レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
ささはら(プロフ) - 事細かな描写への言葉選びが卓越していて、読み進めるのが大変楽しいです。語彙が多いのが羨ましい限りです…。勉強の合間にいつも読ませて頂いています。更新頑張ってください、全力で応援してます。 (2018年3月4日 0時) (レス) id: ed6ccbb613 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - もろとさん» コメントありがとうございます。美しい、とは勿体ないです…ありがとうございます。とても嬉しいです、これからも精進していきますのでよろしくお願いします (2018年2月15日 13時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
もろと(プロフ) - 読みはじめて最初に出た言葉が「わぁ！」でした。とても美しくて、読んでいると頭に映像が流れ込んでくるみたいです！凄く好きです。これからも頑張ってください！ (2018年2月14日 20時) (レス) id: 8eb97f1a18 (このIDを非表示/違反報告)
にらもやし(プロフ) - 白玉(つぶあん)さん» コメントありがとうございます。言葉や言い回しにはとても気を遣っているので、そう言って貰えるとニヤついてしまいます。更新頑張らせていただきます (2018年1月3日 21時) (レス) id: 1d32708f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にらもやし | 作成日時：2018年1月3日 13時
