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「…うわぁ、可愛ぇ!!」
不意に聞こえた高めの声。
目の前の彼の口から出た声だとにわかには信じられず、目を見張った。
そんな事にはお構いなしに男性は彼女の隣にしゃがみ、
子犬の頭をわしゃわしゃと撫でる。
そっと横顔を覗き見してみる。
…これは不意打ち、だ。
今さっきまで警戒したような硬い顔で、
表情をピクリとも動かす事のなかった彼。
愛想が悪い、と思ってしまうほどだ。
先ほどの彼の言葉から推測するに、
このお店(恐らくバー)の従業員なのだろう。
だとすると接客業に携わっている者としてその態度はどうなの?
と思ってしまうほどだ。
……けど。
子犬を見た途端に緩んだ口元。
それに比例して盛り上がった頬。
子犬を撫でながら一心不乱に見詰める、優しい瞳。
まるで彼女の存在を忘れてしまったかのように
自分(と子犬)だけの世界に入ってしまった彼を見つめて、
いつしか彼女の頬にも自然な笑みが浮かんでいた。
__何年ぶりだろうか、素直な気持ちで笑顔になるのは。
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茎若布(プロフ) - うさたぬき。さん» わああ、ありがとうございます!励みになります…!少しずつの更新になってしまいますが気長にお付き合いください(*´ ˘ `人) (2017年9月8日 0時) (レス) id: 435905ec86 (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 凄く続きが気になります!更新待ってます^^ (2017年9月6日 16時) (レス) id: d32628a784 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くきわかめ。 | 作成日時:2016年7月21日 21時