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後に残ったのは、AliceとTOPPOの2人。そして足元で2人を見上げる子犬。
重なったのは、2人の影と
「「…あの、」」
2人の声。
「あ…ごめんな、なに?」
「いえ、私こそ…お店に戻らなくて、大丈夫ですか?」
「ああ、まあ…まだ15時やしヘーキやろ」
「そう、ですか…」
「…ゴメン、な?色々…」
足元の子犬のように上目遣いでこちらを伺う彼の表情はまさに「しゅん」としてて
「…っいやいや、むしろ気を遣わせてしまって…」
思わず全力で両手を振っていた。
「…とっくに分かっとるやろけど、あの人ら俺の仲間やねん。
んでもって…大事な、家族」
「…家族?」
ARSENALと呼ばれていた男の口からも出てきた言葉。
兄弟か何かのようには見えない彼らは、つまり「家族のような存在」ということなのだろう。
そう思うものの、仲間とは仕事上の関係としてしか関わることのできない彼女には
理解することができなかった。
家族ってどんなものなんだろう。
血は繋がってなくてもそう思えるって、どんな感覚なんだろう。
なんでそこまで大事に思えるの?
裏切られるかもとか捨てられるかもとか思わないの?
本当の家族でも、子どもを捨てるのに…。
うつむくAliceに気付いていないのか、TOPPOはしゃがんで子犬の頭を撫でながら
ぽつり、ぽつりと言葉を紡いだ。
「…俺な、いや俺だけやない、
さっき会った俺の仲間みんな、ほんまの家族はもう居らんねん」
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茎若布(プロフ) - うさたぬき。さん» わああ、ありがとうございます!励みになります…!少しずつの更新になってしまいますが気長にお付き合いください(*´ ˘ `人) (2017年9月8日 0時) (レス) id: 435905ec86 (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 凄く続きが気になります!更新待ってます^^ (2017年9月6日 16時) (レス) id: d32628a784 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くきわかめ。 | 作成日時:2016年7月21日 21時