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『せんぱいせんぱい!!』


早く座ってと言わんばかりに自分の隣の席に置いていたカバンを退けて、ぱんぱんと椅子を叩いた。

それに気づいて、ニコニコ笑って言われるままに先輩は座った。


うわああ先輩だ!予定より早く会えちゃった。



「ちょっとお兄ちゃん!!私とAの時間だったのに、なんで早く来ちゃうの!?」


「愛の力?」


「きっしょっ。」


『!??!』



しまこの聞きなれない暴言に驚いた。あれ、しまこと先輩って普段こんなマシンガントークしてるの?

ちょっぴり羨ましかったりする。

だって、2人とも私といると全部気を使うんだもん。

ずばって言ってもいいのに。


ちょっと剥れて2人の会話を眺める。置かれたアイスティーを揺らしながら、反射したむくれっ面があまりに情けなくなって、がっとなどに流し込んだ。



「A?どうしたの?やっぱりお兄ちゃんがいい?」

「しまことの邪魔したから怒っとるん?」

.

.



『両方!!!!』


.

.



私は頰を膨らませて腕を膨らませてそっぽを向いた。その数秒後、隣でガシャンという崩れ落ちる音が聞こえて驚いて振り返ると2人が顔を抑えてしゃがみこんでいた。



『え?え?』


あまり状況把握のできてない私は辺りをキョロキョロ見回した。不幸中の幸いか、周囲の席に人が座っていることはなく、なにか特別変な目を向けられることはなかったが、とにかく不思議だった。



『しまこ?せんぱい?なにしてるんですか?』


「悶え中。」


「やっぱり俺もう一回高校入るわ。」


『え!ほんと!?』


「おにいちゃんやめて、信じちゃってるじゃん。」


手を差し伸べて2人にちゃんと座ってもらうと、相変わらず頭を抱えていらっしゃるようで、頭のクエスチョンマーグが消えない。



『でも、先輩がいないのは寂しいです。』


「ぐはあっっ。」


「A!もうだめよ!お兄ちゃんのHPはもう0よ!」


『え!大丈夫ですか!?』





素直に言ったらだめだと言われた。先輩がいなくて寂しいのは事実なのに。

演技の入った2人のわちゃわちゃはやっぱり面白くて、くすくす笑いながら眺めた。


最近、大切な人を、守りたいなって思うようになった。昔から、2人は私を守ってくれたから。



バカな私でもできることを。





(え?なに?天使?)

(これからは私があの子の1番になる♡)

(彼氏が1番やろが)

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作者名:るはな | 作成日時:2019年6月3日 0時

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