青銅の迷い犬弐 (ページ20)

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陸拾陸頭は間違うことがあってもページ20

その後太宰さんと話した末、最悪の事態を考えナオミちゃんと春野さんと一緒にいることとなった
幸いにも私達3人は異能にかかった様子はなく、探偵社員の中では国木田さんに手形が出現しただけであった

太宰さんから聞いた最悪のことを考え身震いする
彼は先生には及ばない、とは言ったものの人間離れした頭を持つ人だ
恐らく当たっているのだと思う

そんな私の様子を心配しナオミちゃんと春野さんは元気づけようとしているが全く耳に入ってこない

今日何回目か分からない溜息をついた時、外から大きな音がした
その音に慌てて立ち上がる
外を見ると目から血を流した人々が歩き回っていた

｢お二人とも、絶対に外には出ないでください！｣

そう言って外に走りでる
ナオミちゃんの、私の身を案じる声が聞こえるが聞かないふりをする

道路には火の粉が飛び叫び声が飛び交っている
どうやら太宰さんの予想は当たってしまったらしい

避難誘導等を行っていると予想外の人物と会う

樋｢あ、探偵社員の｣
｢貴方は…樋口さんでしたっけ｣

蜂蜜色の髪の毛が特徴的な女性ーーポートマフィアの樋口一葉だ

彼女は私を見ると期待を込めた目で近づいてくる

樋｢貴方、確か時間を止めるような異能でしたね！それでこの人達を…！｣
｢ごめんなさい、私は他人の異能がかかった人に対しては異能を使えないんです｣

そう言うと樋口さんは大きな溜息をつく
…しょうがないじゃないか。そんな異能なんだもの

ポートマフィアと探偵社という敵対する組織の一員である私達だが今だけは自然と協力体制となる

そうして数時間、いきなり煙幕がかかったと思うと異能にかかっている人達が正気に戻っていく
確信は無いが恐らく敦君と太宰さんの作戦が成功したのだろう、ひとまず安心して重傷者の救護にあたった