青銅の迷い犬弐 (ページ15)

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陸拾壱 The strategy of conflict ページ15

社長と中原さんの話は続く

福｢何を隠している？｣
中｢何も｣

恐らく向こうでは先生が推理を始めたところであろう
話が核心に迫っているのを感じる

福｢この件の裏でマフィアはどう動く？｣
中｢動くまでもねえよ｣

中原さんは不気味に微笑みながら言う
マフィアが動かないという事は探偵社が動かざるをえない『餌』を組合に提示したのだろう
嫌な汗が背中をつたう

江｢やあ、素敵帽子君。組合の御機嫌二人組に情報を渡したのは君かい？｣
中｢あ？…そうだが｣

先生が何か気づいたところがあったのだろうか、中原さんに問う

江｢組合は僕達と同じように罠を疑った筈だ。しかし彼等は食いついた。余りに『餌』が魅力的だったからだ。何で組合を釣った？｣

いつにも増して冷静な声である
それを聞いた中原さんは笑みを浮かべ、挑発するように先生に訪ねる

中｢お宅は探偵社だろ？ここはひとつ、推理でもしてみろよ｣
江｢確かに僕なら出来るね。ただ一刻を争う事態では絶対信じられる情報が欲しい｣

お互いの沈黙が続く
すると私の耳に先生から異能発動の合図が届く
其れに従い静かに異能を中原さんにかける

江｢素敵帽子君、ここで君に残念なお知らせだ。今君にとある異能をかけた。身体を動かしてご覧｣

中原さんが先生に従い動かそうとするが勿論動かない

中｢なッ、動かない!?｣
江｢君が情報を渡すのと交換でといてあげよう。ポートマフィアとしては五大幹部が二人も捕虜になるなんて事態は裂けたいんじゃないか？｣
中｢チッ…姐さんか｣

それを聞いた中原さんは少し怒りを含めた目で、しかし冷静に考えている

中｢判った、教えよう。『餌』はーー｣