青銅の迷い犬 弐

伍拾玖 The strategy of conflict ページ13

ボゴッ
と大きな音がする
賢治君が線路の一部を其の怪力で引き抜いた音だ。
其れを見た相手も一瞬驚いたようだが矢張りポートマフィアの一員といったところか、直ぐに戦闘態勢に切り替えたようだ。

宮｢気をつけて下さーい｣

そう言い賢治君は手に持ったレールを振り切る
それのせいか、強い風が辺りを取り囲み思わず目を閉じる

目を開き相手を探すがどうやら先程の攻撃を避けていたようでかすり傷ひとつついていなかった

与｢A｣

突然与謝野さんに声をかけられる

｢どうしたんですか？｣
与｢Aの異能力をあまり使いたくない今、彼奴は恐らく妾達より強い。｣
｢そうですね、あの賢治くんの攻撃を殆ど動かずかわしたくらいですから｣
与｢妾達の仕事は時間稼ぎ。単体ですぐやられるより同時の方が善い｣

その言葉が終わらないうちに賢治君が蹴り飛ばされる
彼は銃弾も通さない身体をしているので恐らく大丈夫であろう

それを見届けるや否や与謝野さんは鉈を、私は小刀を使い相手を狙う
だがそれもいとも簡単に避けられてしまう

…相手が天井に立ったことによって

その光景に唖然として言葉を失う
と同時に以前太宰さんが

太｢私の昔の知り合いでね、それはそれは小さい重力使いがいたのだよ。何時も付属品みたいに変な帽子を被ってね。｣

と言っていたことを思い出す
当時は誰だかわからなかったが成程、彼であったか

｢その異能力…重力使いの中原中也さんですね？｣
中｢ち…太宰の兵六玉が喋ったか｣
｢ええ。付属品の変な帽子を被っている小さい方だと、話していましたね｣
中｢なんだそれ！！！｣

其れに大層腹が立ったのであろう、とても怒っている
まああんな言われ方をしたら無理も無いだろう

ーーー

中｢他には何か変な事言ってたか？｣
｢蛞蝓だって。そうなんですか？｣
中｢ンなわけあるか！！｣

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