僕が見た幻【Side青】 ページ32
賽は、投げられた。
勢いで取ってしまった電話やったけど、
もしかしたらもっと前に、こうすべきやったのかもしれない。
僕たちは、あまりにも遠回りをしすぎた。
自ら迷路に入り込んで、いたずらに傷つき、傷つけ合った。
僕たちを取り巻くものは、あまりにも多すぎた。
事情と遠慮と、尊厳とプライドと、恐怖や征服欲、そして、歴史や絆と。
僕は一人になるたびに、あの朝を想い出す。
起きて Aちゃんがおった時に、ああ、幸せやなと思った、あの朝を。
何かが違えばこんなふうに、当たり前にAちゃんが隣におる生活が あり得たかもしれんて、
一瞬だけ、儚い幻を見た気がした。
僕はその時、僕にこんな簡単に幸せをくれるAちゃんを幸せにするには、どうしたらええんやろう、と思った。
それ以来、僕はずっとずっと、そればかり考えていた。
一生懸命、考えていた。
あの日、現場に行ってすぐ、鉢合わせた渋やんとアイコンタクトを交わした。
すぐにみんなの雑談に掻き消されたけど、渋やんも目をそらさなかったから。
あとは、その時を待つだけやった。
あの日、泣いていたAちゃん。
帰り際、次の約束もせんと、静かに微笑んで帰っていったAちゃん。
僕の好きな彼女。
僕が…僕たちが追いつめてしまった彼女。
お願いだから、どうか穏やかに笑っていて。
それから……
クリスマスも、年末も、忙しい日々が続いた。
僕たちはがむしゃらに、全力で笑顔やった。
テレビの前の人が全員、一緒に笑ってくれるようにと、
願いを込めて。
そして、新しい年を迎えて、すぐ。
……その日は、やってきた。
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たまご(プロフ) - ななさん» なな様、うれしいコメントありがとうございます^ ^ すばるくんとの旅行、一緒に楽しんでくださいね^ ^ (2018年1月11日 1時) (
レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - あくあさん» あくあ様、いつもありがとうございます！ 青さん派のあくあさんには申し訳ないですが、不器用すぎる赤さんとの旅行、一緒に楽しんでいただけるとうれしいです！ (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - psycheighterさん» psycheighter様、コメントありがとうございます^ ^ 有り難いお言葉、うれしいです…！ 彼らも大人なので、こんな恋愛していてほしいという、私の願望が詰まっておりますが…笑、最後までお付き合いいただけるとうれしいです。 (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 今1番更新が楽しみな小説です。私はすばる担なのですばるくんと幸せになったらいいなぁとドキドキしながら読ませて頂いてます！ (2018年1月11日 0時) (レス) id: 6cdacb0f72 (このIDを非表示/違反報告)
あくあ - ほんと不器用すぎて切なすぎる。けど、それも赤さんっぽさが出てていい。あぁ〜映画化してほしい。笑 (2018年1月10日 23時) (レス) id: 4e4eb3dcc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年1月2日 17時
