財布をくれた猫【Side緑】 ページ27
「うわーっ、めっちゃうまそ、このお肉お替わりしてええ？」
「ちゃんと食い終わってから言えやもー」
「やって横山くんのおごりやろぉ？」
人の少ない鉄板焼き屋のカウンター。
末っ子の本領発揮する僕を軽くいなしながら、
高そうな肉と魚介たらふく食って、
いい感じに酒が回るまでちゃんと待ってくれてから、横山くんがそっと切り出す。
「……で、なんなん」
横並びの席 選んでくれたんも、顔見んと話しやすいように気ぃ遣ってくれたんやろな。
その有り難さに感謝しながら、僕も答える。
「大したことやないねんけど…」
…大したこと、ないと信じたいんねんけど。
「……すばるくんて、決まった彼女、おらんはずよな」
あまりにも意外な話題やったんか、一瞬戸惑いの間が空いたのを感じたけど、
いつかヤスに同じこと聞かれた時に僕がやったような からかうようなことはせんと、ちゃんと答えてくれた。
「知らんわそんなこと…ずいぶん長いことおらんと思うけどな」
…そうやんなあ、別にそこで嘘つく必要もないやろし。
なんとなく拍子抜けした僕に、横山くんが重ねる。
「ああー、でも、たぶん昔から切れてない女なら、おるで」
「そうなん！？ セ フレ的なこと？」
食い気味に自分でそう聞き返した瞬間に、つながった。
“なぁ、彼女とセ フレの違いって なんなん…？”
ああ、ヤスがいつか、聞いてきたことや……
ビンゴ、か……。
最っ悪、やな。
「お前声でかいわ……すばるもあんま細かいことは話さへんからわからんけど…」
そう言って、横山くんは小声で僕に秘密を教えてくれる。
“あいつの財布、ボロボロやん？”
“むかーし、たぶんあいつの誕生日直後やったんかな”
“その財布ええな、誰かにもらったん？ て聞いた時あったんやけど”
“そん時『躾のいい猫からな』って…”
“うっわ何その答え方、えっろ、思て、印象に残っててんけど”
“穴あいても、新しい財布に変えへんし”
“なんとなく、まだその猫と続いてんのかなって、俺が勝手に思ってるだけやけど…”
黙りこくったままの僕を見て、横山くんが見兼ねたように言う。
「……ようわからんけど、よっぽどやない限り…あんま口出ししたらあかんで」
……よっぽどのことやったら、どうすればいい？
僕は反射的に急いでヤスに連絡しようと思ったけど、
すぐに思い直した。
それでも…僕は一緒にやってきた仲間を
その年月を…信じたかったんや。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 759人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たまご(プロフ) - ななさん» なな様、うれしいコメントありがとうございます^ ^ すばるくんとの旅行、一緒に楽しんでくださいね^ ^ (2018年1月11日 1時) (
レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - あくあさん» あくあ様、いつもありがとうございます！ 青さん派のあくあさんには申し訳ないですが、不器用すぎる赤さんとの旅行、一緒に楽しんでいただけるとうれしいです！ (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - psycheighterさん» psycheighter様、コメントありがとうございます^ ^ 有り難いお言葉、うれしいです…！ 彼らも大人なので、こんな恋愛していてほしいという、私の願望が詰まっておりますが…笑、最後までお付き合いいただけるとうれしいです。 (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 今1番更新が楽しみな小説です。私はすばる担なのですばるくんと幸せになったらいいなぁとドキドキしながら読ませて頂いてます！ (2018年1月11日 0時) (レス) id: 6cdacb0f72 (このIDを非表示/違反報告)
あくあ - ほんと不器用すぎて切なすぎる。けど、それも赤さんっぽさが出てていい。あぁ〜映画化してほしい。笑 (2018年1月10日 23時) (レス) id: 4e4eb3dcc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たまご
| 作成日時：2018年1月2日 17時
