合わない視線【赤】 ページ1
逸る気持ちをおさえるのに、必死だった。
「会いたい」
一度口に出してしまうと、想いはどんどんとこぼれ落ちる。
会いたい。会いたい。
こんな言葉、今まで一度だって彼に言ったことはなかった。
なのに…知らなかった。
泣きたくなるほど、私はずっと、もう８年以上ずっと、彼に会いたかったんだ。
オートロックを抜ける。いつもなら絶対にわざとゆっくりと歩く廊下を、今日は走り出してしまいそうになる。
それでもなんとか平静を保って、ドアを開ける一歩手前で大きく深呼吸をして、震える手でドアノブを掴んだ。
部屋の廊下を進み、リビングに入ると、彼がソファに横になって、じっとこちらを見ていた。
その瞳からは何を考えているかを汲み取ることができなくて、私は急に不安になる。
…平静を失っている自分が恥ずかしくなって、一瞬顔を伏せた。
「お前から連絡してくるなんて 珍しな。…初めてとちゃうか」
彼から声をかけてくれたことでホッとした私は、鞄を持ったままソファの前に座り込み、
寝転んだまま、目をそらした彼の前髪に、そっと触れた。
それだけで、涙が出そうになる。
「うん…ごめんね…」
どうしても会いたくて。
その言葉をぐっと飲み込んだ時、
“ぶつかってみたらええんとちゃうかな”
ヤスくんの言葉がまた、頭の中をよぎる。
「ええけど。明日休みやし」
もしかしたら、ヤスくんの言う通り、私が素直にぶつかったら。
今20センチ先でキレイな目を伏せているこの人が、私のほうを向いてくれる日が、来るのだろうか。
そんな分不相応な願いを抱いた瞬間ーー
「もう、会いにきいひんかと思っとったわ」
彼が、小さな声でつぶやいた。
「ど、して…？」
思わぬ発言に動揺する。
「…ん。なんもない。忘れろ」
こちらを見ないままそう言って、私の頭の後ろに手を伸ばし、くちびるを引き寄せるから、
私は目も口もふさがれたみたいになって、突然真っ暗な水中に放り出されたように、
進むべき方向を、見えた気がした未来を、
また見失ってしまった。
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たまご(プロフ) - ななさん» なな様、うれしいコメントありがとうございます^ ^ すばるくんとの旅行、一緒に楽しんでくださいね^ ^ (2018年1月11日 1時) (
レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - あくあさん» あくあ様、いつもありがとうございます！ 青さん派のあくあさんには申し訳ないですが、不器用すぎる赤さんとの旅行、一緒に楽しんでいただけるとうれしいです！ (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - psycheighterさん» psycheighter様、コメントありがとうございます^ ^ 有り難いお言葉、うれしいです…！ 彼らも大人なので、こんな恋愛していてほしいという、私の願望が詰まっておりますが…笑、最後までお付き合いいただけるとうれしいです。 (2018年1月11日 1時) (レス) id: 30c6e5130b (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 今1番更新が楽しみな小説です。私はすばる担なのですばるくんと幸せになったらいいなぁとドキドキしながら読ませて頂いてます！ (2018年1月11日 0時) (レス) id: 6cdacb0f72 (このIDを非表示/違反報告)
あくあ - ほんと不器用すぎて切なすぎる。けど、それも赤さんっぽさが出てていい。あぁ〜映画化してほしい。笑 (2018年1月10日 23時) (レス) id: 4e4eb3dcc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たまご
| 作成日時：2018年1月2日 17時
