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大「まずは前菜とスープ。近海で捕れた白身魚のカルパッチョと、トマトの冷製スープでございます。」


シェフがスマートに料理を運んできてくれて、コトリ、と並べてくれる。


しかも、二人分。



私の向かいにも、同じようにテーブルセッティングがされていて。
その席には、一輪の朝顔に良く似た青紫色の花が挿してあった。


『……』

「おーくらの料理は最高やでぇ?どうぞっ♪」

『……』

「、どうしました?」

『…、これ…、二人分…』


「ああ、これ、キキョウです。」




いやまた質問の返答になってないけど。




『キキョウ…?』

「そ。」



カタンと、音を立てて、
近くの椅子をひいて、背もたれに顎を乗せて跨がるように座って。


「花言葉は"永遠の愛"。…諸説ありかもわからんけど。笑」


「おーくらシェフが、お客さんが予約した時から、カップルの旅行の思い出作りをサポートするのもシェフの役目やって、超豪華ディナーを考えてたんです。」


「やから、おれからは…キキョウがええかなって。」


「どーぞ、彼と二人きりのディナーを楽しんでください。」


「ごゆっくりどうぞ。」




ゆらゆらと揺れる炎の灯りの中で、宿主さんは優しく笑った。




『……っ、』



そっか。



『……っ、うー…』ポロポロッ



そっか。



『……っ、ふぅっ』ポロポロポロッ




そっか。

私、彼氏が亡くなったって、
嘘、ついてたんだった。




『ううっ…ふうっ……っ』




自分を惨めな女にしたくなくて、
咄嗟についた嘘。ただの、見栄。


それをこんなに、いとも簡単に信じて、
こんなに暖かく、優しく包んでくれて。
こんな偽傷心女を、癒そうとしてくれて。



『なんでこんな……っ、』ポロポロ

『ご…めんなさいっ、…ごめん……』グスッ




次から次へと嘘をついた事への後悔の気持ちがわいて出て来て、
涙が訳分からないくらい出て来て。
ごめんなさいの気持ちが、言葉が、止まらなかった。



「あららららっ」ガタン


宿主さんは慌てて立ち上がって、ティッシュの箱を取って、


「おハナ、どーぞっ」


数枚引き抜いて、私の鼻にティッシュを押し付けてきた。




大「…ヤス。レディに鼻ピンポイントで渡すなや。鼻垂れとるー言うとんのと同じやで。笑」


「っはっ!そっか!!」


『…ズビバセ。』ズビッ チーンっ


「ああっ、いやいやっ///こちらこそっ!」




真っ赤な顔で宿主さんは笑った。

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がくたん(プロフ) - runaさん» これからもヤスヌシの信条どおり、こちらにお越しくださるお客様にそっと寄り添って空気感で優しく癒せるような【まほろば】でありたいと思っております。西崎の男前一同、いつでもお待ちしておりますので今後ともご贔屓にお願いします♪ m(__)m (2019年7月7日 12時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - runaさん» runaさんにコメントをいただいた事で見返してみたら、もう2年が経つんやぁって驚きました(笑) 読んで下さる皆様をゆったりのんびりした世界にお連れしたくて書いたこの作品、いまだに読み返していただいてるなんて本当に嬉しいです、本当にありがとうございます! (2019年7月7日 12時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
runa - このシリーズが大好きで、何度も読み返しては優しい気持ちになって、心の棘を抜いています。素敵なお話をありがとうございます。 (2019年7月7日 0時) (レス) id: 96114386de (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - てんてんさん» ね!?やっぱり引きますよね(笑) でもそれをやれちゃうのがマルちゃんかなって。てゆか、私的には"二人にしか分からない暗号"っぽさが良かったのです(///∇///) だから現実の自分には目を瞑って(笑)書いてみましたー♪ (2017年8月6日 22時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
てんてん(プロフ) - 確かに引くかも!笑そもそもしなきゃ!知識がないので全くわからなそう!今から勉強しなきゃ!笑素晴らしい作品なので良きなのです← (2017年8月6日 20時) (レス) id: df40b804f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:がくたん | 作成日時:2017年7月14日 12時

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