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「本物やん、あの子…」
コンペティターいう事は、そのまんま競技者って意味で。
あのステッカーは、多分スポンサーのもの。
しかも相当な数。
実力ある人には、プロやなくてもブランドがスポンサーとしてついて、直接ウエアやボードのサポートが受けられる。
俺はボディボードの世界はあんま詳しくないけど、
この子、トップアマなんちゃうか。
近いうちにプロになるのかも。
「後で名前聞いとこ…」
この子が有名なプロんなったら、ツナギ作っとけばうちの店にもスクールとかイベントとかで呼べるかもしれんし。
なんて、商人精神がムクムクと沸き上がった。
ザザーン ザザーン
「っ、ヒュウ〜っ♪」
めっちゃ気持ちええっ!
パワーあるから持ってかれそうになるけど、ホンマええ波♪
「よっしゃ、もう一本!」
再び沖に向かってパドリングを始めたら、
沖からくる波にあの子が乗ってきた。
俺の身長は軽くあるような波に、
深いターンで下から上にかけ上がって波の面でキレのあるスピンをして、
再び深いターンで降りたあと、崩れてくる波のリップにかけ上がって波の上に高く飛び上がって回転して着水した。
「…エアリアルやん、嘘やろ…。」
あまりの上手さに呆気にとられてもうた。
その直後、あの子が乗ってきた波が俺に襲いかかってきて、洗濯機みたいに巻かれてもうた。
「……ぶっ!!!」
両腕で頭を庇って海中で巻かれるだけ巻かれて、自然に浮き上がるのを待つ。
そうしてやり過ごして、ふわっと浮いてきた所で顔を上げると、
『大丈夫?』
太陽の光が眩しくて、逆光で始めは誰だかわからんかったけど、
ボードを左脇に抱えて、右手を腰に当てて。
波に負けないように仁王立ちしてるあの子やった。
『ごめんっ、私…当たった?』
その姿があまりにも格好よくて。
凛として、美しくて。
見とれてもうた。
『…、大丈夫?どっか打った?』
「っ、大丈夫っ!自分、あまりにも上手いから、ドルフィンすんのも忘れて見てもうてっ…。ごめん、俺が邪魔やった!」
「ほんまっ、俺どんくさいやんなぁ、ごめんっ。」
"波に巻かれる下手くそ"になってもうた恥ずかしさで、捲し立てるように弁解すると。
『ううん。めっちゃキレてるカットバック見てたよ。スプレー半端なかったし。』
『上手じゃん。』
そう、ニコッと笑った。
笑顔に反射する波の光。
アカン。
堕ちた。
初めての一目惚れって奴や。
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がくたん(プロフ) - runaさん» これからもヤスヌシの信条どおり、こちらにお越しくださるお客様にそっと寄り添って空気感で優しく癒せるような【まほろば】でありたいと思っております。西崎の男前一同、いつでもお待ちしておりますので今後ともご贔屓にお願いします♪ m(__)m (2019年7月7日 12時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - runaさん» runaさんにコメントをいただいた事で見返してみたら、もう2年が経つんやぁって驚きました(笑) 読んで下さる皆様をゆったりのんびりした世界にお連れしたくて書いたこの作品、いまだに読み返していただいてるなんて本当に嬉しいです、本当にありがとうございます! (2019年7月7日 12時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
runa - このシリーズが大好きで、何度も読み返しては優しい気持ちになって、心の棘を抜いています。素敵なお話をありがとうございます。 (2019年7月7日 0時) (レス) id: 96114386de (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - てんてんさん» ね!?やっぱり引きますよね(笑) でもそれをやれちゃうのがマルちゃんかなって。てゆか、私的には"二人にしか分からない暗号"っぽさが良かったのです(///∇///) だから現実の自分には目を瞑って(笑)書いてみましたー♪ (2017年8月6日 22時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
てんてん(プロフ) - 確かに引くかも!笑そもそもしなきゃ!知識がないので全くわからなそう!今から勉強しなきゃ!笑素晴らしい作品なので良きなのです← (2017年8月6日 20時) (レス) id: df40b804f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がくたん | 作成日時:2017年7月14日 12時