3.134号センチメンタル ページ7
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車はとあるトンネルに差し掛かる。電灯があるとはいえ、車通りの少ないこの時間のトンネルはまるで異世界への入り口で、吸い込まれたら出られなくなってしまいそうだ。山奥ではなく海の傍、比較的大きな道のトンネルであるため心霊スポットなどではないはずだが、どことなく雰囲気がある。
「この時間のトンネルってなんか出そう」
「やめて俺も同じこと思いました」
「ビビりだなぁ」
ケラケラと馬鹿にしたように笑う先輩は、ちっとも怖くなさそうだった。俺だって恐怖に震えたわけではない。ただちょっと身構えただけだ。だがそれでムキになって否定しても余計に馬鹿にされるだけな未来が容易に想像できたため、何も言わなかった。
実際トンネルは何の変哲もないただのトンネル。特別古そうでも新しそうでもない。トンネル内を走る車はこの車だけで、一台分のエンジン音が反響する。
「あ、窓側見てて」
言われるがまま、規則的に積まれたレンガの壁を見る。すると突然景色が変わった。
「わっ！え、海すか！」
閉塞的だったトンネル内から一気に視界に広がる海。深夜であるためもちろん暗いが、灯台の光や月明かりによってその存在が分かるくらいには明るかった。異世界ではなかったが、あのトンネルは別世界への入り口だったようだ。
「えーうわ、なんかいいっすね、トンネル抜けたら海！って感じ」
「エモ？」
「そう、エモい！」
高校時代は部活漬けで海に入って遊ぶなんていうことはしなかった。大学でも率先して海に行きたがるアウトドア志向の人間は自分も含め友人間でいないため、そこまで海に縁があるほうではない。だからと言って、全く海を知らないわけでもないから、海を見たところではしゃぐことはないはずだった。だが実際いきなり目の前に現れたどこまでも続く海と強烈な潮の香りは、俺の心を揺さぶるには十分だったようだ。
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ぽん(元あお）(プロフ) - えまさん» えまちゃんからこのタイトルを貰わなかったら永遠に浮かばない話でした！本当に感謝！普段書かないちょっと背伸びした描写だったから不安なところもあったけど、そう言っていただけると嬉しいです！ありがとう（ ｉ _ ｉ ） (2019年12月21日 20時) (
レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ ぶん投げたタイトルで素敵な作品が出来上がっていくのを見るのがとても楽しかったです！笑 風景の描写や、強そうに見えて少し寂しがり屋な夢主や、色々がとても素敵でした！！ (2019年11月2日 0時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお）(プロフ) - りらいとさん» 普段あまりしない描写の仕方をしているので不安でいっぱいなのですが、そう言っていただけると安心します、、ありがとうございます！頑張ります(*^_^*) (2019年10月31日 23時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
りらいと(プロフ) - 作り込まれた文章や雰囲気、本当に最高です……！更新楽しみにしております、頑張ってください！ (2019年10月28日 0時) (レス) id: 6ec84cd5cc (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(元あお）(プロフ) - 千燈篭さん» コメントありがとうございます！木葉です！！！！！先輩女子に振り回される木葉を書いていきたいと思います笑 この先どうなっていくか見ていただけると嬉しいです(^○^) (2019年10月27日 23時) (レス) id: f02ef0b594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2019年10月26日 11時
