23 ページ23
息も絶え絶えに、私は部屋を出る雅紀さんを見送る。
雅紀さんは「また一緒に食事しようね」って言ってくれた。
が、もう耐えられそうにない。
お料理はどれも美味しかったし素敵だったけど。
櫻井さんの目は怖いし、変なこと言っちゃうし。
何より、あんなのを毎日食べていたら痛風になってしまうに違いない。
大丈夫なのかしら、雅紀さん。
あんだけ食べてもあんなにスラッとしているのは何故。
それに、私は使用人。
ご主人様と肩を並べて食事だなんて言語道断。
一緒にいてよくわかった。
私と雅紀さんは住む世界の違う人。
浮かれてはいられない。
お母さんが私に任せた役目なんだし。
明日からは真面目に仕事しよう。
「静代さんの娘さんなんだって？」
シェフがいつの間にか真横にいて、話し掛けられる。
近くで見るとなかなかの迫力！
「はっ！？はいっ…！いかにも…」
「そう。よろしくね、俺松本潤」
「よろしくお願いします！」
ブンって音が鳴るほど頭を下げる。
こんな綺麗な人が三ツ星シェフだなんて、世の中不公平だなあ。
松本さんもクスッと笑いながら出て行く。
笑われてばっかりだ、私。
ちょっと落ち込む。
肩を落とす私を、なぎささんが優しく慰めてくれた。
「お疲れ様、Aちゃん」
「疲れました…美味しかったけど」
「ウフフ、でも雅紀様は久々に楽しそうだったわよ」
「おかしな生き物が来たと思われたんでしょうね…」
「いやだわあ、生き物って！」
バシンと背中を叩かれて、またしても息が止まりそうになった。
なぎささんのバカぢから…
「カトラリーはちゃんと外側から使ってたし、あとは慣れよ、慣れ」
慣れませんよ、こんなの。
ドレスもなんだかきついし、早く楽な服装に着替えたい！
でも、美味しかったなあ。
ここに来なきゃあんなお料理、一生食べられなかったかもしれないんだし。
あんなイケメンにお目にかかれたのも、このお屋敷に来たからだし。
考えてみたら贅沢だよね。
こんなことをしながらお給料が貰えるんだから。
前向きに行こう、うん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1762人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙月(プロフ) - 初コメ失礼しまーす。翔くんが執事って見た瞬間、あの、眼鏡かけてて、毒舌で、ドS（？）の執事を思い浮かべてしまった私は重症でしょうか？ (2019年1月22日 5時) (
レス) id: b7d8d46a43 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - オム翔さん» オム翔ちゃん、感想ありがとう♪ご主人様が翔さんにプリプリ怒るんだよ！櫻葉萌え(//Д//)ベッドINって言い方ｗ櫻井さんは「私の御前様になんてこと！ワナワナ」ってなっていることでしょう。なんだかんだ言って主人公の成長を期待しているのよね、櫻井さん。 (2017年5月10日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - 皐さん» 皐ちゃん、感想ありがとう♪寝起きのご主人様…映像で見たら破壊力半端ないだろうね(*'д`*)小鳥が指にとまるのはＣＧで（笑）藤村さんに惚れかけた？ｗきっと若かりし藤村はダンディーなイケメンだよｗ翔さんの当たりがきついのはジェラシーかも(^m^) (2017年5月10日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ﾅｵさん» ﾅｵちゃん、感想ありがとう♪無事にお茶係の初仕事を終え、ご主人様にも翔さんにもお褒めの言葉を頂いたよ☆いつも怒られてる人に褒められるって泣ける。ベッドに引きずれこまれるなんて、イケメンだから許されることよね(//Д//) (2017年5月10日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
yuko(プロフ) - ゆりさん» ゆりちゃん、感想ありがとう♪ヨダレヨダレ(゜ー,゜*)とまんないね（笑）！翔さんのアメとムチもステキ☆妄想ばんざい！(○´∀｀)ノ+゜*。櫻井先生とはもどかしいけど、こっちのお話はどんどん進展させるよ！お楽しみに♪ (2017年5月10日 0時) (レス) id: 7b49a3b518 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yuko
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yashikonbu
作成日時：2017年4月2日 17時
