�� ページ41
.
｢八木くんは死なない？｣
｢あぁ｣
｢じゃあ無茶しないって約束して｣
｢それは出来ないんだ｣
許してくれ、と言うように、胸に縋る彼女を抱き締めた。
こんなとき、自分のやせ細った腕が嫌になる。
彼女の言う通りなのかもしれない。
もう無理はするべきではないのかもしれない。
けれど、自分はヒーロー。覚悟は決めているのだ。
｢私は、人を守って死ぬのなら、何も悔いは無いさ｣
｢そんなこと………｣
Aさんは、顔を上げて、また私の目を見る。
｢そんな事言ったら、私はまだ八木くんに守ってもらってないよっ……｣
｢A……さ………｣
.
｢我儘だって分かってるよ、八木くんは皆のヒーローだもん、私なんかのためにそんな意識使ってられないって分かってる｣
涙を指で拭ってやると、またそれ以上に涙が溢れ出す。
自分のために、彼女が流した涙なのだ。
｢でも、八木くんが私の知らない場所で死んじゃったりしたら｣
｢八木くんがいなくなってしまうのは、私は嫌だ…！｣
｢…居なくならないよ、絶対｣
彼女を、強い力で抱き締めた。
こんな細い体で出せる程度の弱い力かもしれないけれど。
背中をぽんぽん、と撫でると彼女は安心したのか、先程のような攻撃的な言葉は言わないようになった。
ヒーローになった、いい大人がする事でもないな、と心の中で考える。
｢……私は、必ずこの個性の後継者を探すよ、｣
ぽつり、ぽつり、と言葉は出てきた。
｢でも、もしかすると、Aさんが言うように死ぬかもしれない、
だから、｣
.
｢じゃあ、私は八木くんが死なないように、ずっと隣にいてもいいですか｣
.
彼女は、顔を見せずに、私の言葉を予言したかのような口振りで言い放った。
.
.
『大丈夫、君を守ってみせるさ』
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
リクエストありがとうございました(；▽；)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タナタ(プロフ) - 文章の書き方がとても素敵です！良ければ、ホークス書いて欲しいです！これからよ応援しています！ (2月25日 22時) (
レス) id: 4118c67c05 (このIDを非表示/違反報告)
Syara(プロフ) - 滅茶苦茶面白かったです…!!荼毘くんが最推しなのですが他のキャラクター達も読んでみたところ魅力がたくさん…推しが増えてしまいそうです… (2023年2月2日 22時) (レス) id: ebcd0fa8e6 (このIDを非表示/違反報告)
累 - 鉄哲君の物語の甘酸っぱさに1人悶えておりました！とても良い物語ありがとうございました！ (2021年8月16日 9時) (レス) id: 1eb84dbd89 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 短編もステキです(*´ω｀*)かっちゃん姉弟夢…切ないけどツボです！幸せになってほしい(切実) (2019年2月21日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ - 面白いです!リクエストなのですが、飯田君とオールマイトをお願いします! (2018年8月28日 18時) (レス) id: 23dcbd0823 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：八尋 | 作成日時：2017年5月27日 17時
