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｢…ねぇ勝己、｣
姉が俺に話しかけるが、正直もう聞きたくなかった。
嫌いな奴の惚気話なんて。
好きな人の恋心なんて。
無視を決め込み、俺はどうにか理性を保とうとする。
｢どうしたの？
……やっぱり、出久の話するのはまずかった…？｣
うるさい、
綺麗な瞳で見つめられると余計に腹が立つ。
｢ごめん、ね｣
謝らせたかったわけじゃない。そうじゃない。
｢勝己｣
｢るせぇんだよ、クソA！！｣
怒り任せに肩を押して、彼女を床に押し倒す。
両腕を掴んで見下す体制になれば、まるで昔の兄弟げんかを思い出した。
今下にいる姉は、深刻そうな顔をしていて、そんな昔の兄弟げんかの面影なんてなかった。
｢……ごめんね｣
｢…………ちげぇんだよ…｣
姉はただただ謝る。
でも、俺はそうさせたいんじゃない。
自分の不器用さがひたすら嫌になる。
思い詰めていると、姉が口を開く。
｢………勝己、随分と"男の人"になっちゃったんだね。｣
｢は…？｣
押し倒された俺の腕を見ながら、寂しそうな顔をして言う。
｢全然、体格だって、力だって違う。
昔みたいに、お揃い じゃなくなっちゃったね｣
今更だ、と思った。
ずっと姉が好きで、姉のことばかり見てきた自分は、
いつからか姉が綺麗になったことも、
体格が女の子らしくなったことも、
俺が腕を力強く握れば少し顔を顰めるのも、全部見てきた。
それはとっくに、姉のことを『女』だと意識していたからだ。
ーーーー姉がようやく、自分のことを『男』として見てくれた。
｢今更かよ。｣
｢気付くの遅くなっちゃったね、｣
｢変わったのは、見た目だけじゃねぇんだよ｣
彼女に顔を近づける。
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｢好きだ、A｣
.
目を大きく開いて驚いている姉に、許されるはずのないキスをした。
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タナタ(プロフ) - 文章の書き方がとても素敵です！良ければ、ホークス書いて欲しいです！これからよ応援しています！ (2月25日 22時) (
レス) id: 4118c67c05 (このIDを非表示/違反報告)
Syara(プロフ) - 滅茶苦茶面白かったです…!!荼毘くんが最推しなのですが他のキャラクター達も読んでみたところ魅力がたくさん…推しが増えてしまいそうです… (2023年2月2日 22時) (レス) id: ebcd0fa8e6 (このIDを非表示/違反報告)
累 - 鉄哲君の物語の甘酸っぱさに1人悶えておりました！とても良い物語ありがとうございました！ (2021年8月16日 9時) (レス) id: 1eb84dbd89 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 短編もステキです(*´ω｀*)かっちゃん姉弟夢…切ないけどツボです！幸せになってほしい(切実) (2019年2月21日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ - 面白いです!リクエストなのですが、飯田君とオールマイトをお願いします! (2018年8月28日 18時) (レス) id: 23dcbd0823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八尋 | 作成日時：2017年5月27日 17時
