�� ページ21
｢美味しい！！やっぱりショートケーキ好き！｣
｢ほんと美味そうに食うよなあ、｣
｢美味しいよ、一口いる？｣
彼女はそう言ってフォークを突き出す。
可愛い。本当に可愛い。
好きな人からこういうことをされて喜ばない奴はいるのか。
恐る恐る、口を開けてショートケーキを貰う。
｢どうですか！｣
｢…うま｣
｢だよね！また来ようよ！｣
Aは無邪気にキャッキャとしながらケーキをぱくりと食べる。
本当に美味しそうに食べるものだから、見ているこっちまで嬉しくなる。
彼氏でもないのに、何度も一緒に付き添えるのは、
とても贅沢で、どこか罪悪感のある、むず痒い感情だった。
｢…A、あのさ｣
｢？どうしたの？｣
｢あー………やっぱ何でもないや｣
恋人でもないのに、俺なんかがお前とこんなに仲良くしていいのか、
と言いたかった。
でもそんな優しい顔向けられたら、言えるわけもなかった。
｢瀬呂くん、｣
｢なんだAﾑｸﾞｯ｣
口に甘いケーキを押し付けられた。
もぐもぐ、と食べると、満足そうにしていた。
目の前の彼女はそれでも優しい笑顔を絶やさずに、俺の方を見ていた。
｢悩みがあれば言いなさい｣
珍しく、彼女が自分の意思を揺らがせたのを見た。
少し命令口調が慣れないのか、顔を顰める仕草を見せて、それが可愛くて俺は思わず笑ってしまった。
｢悩みってほどの悩みでもないんだよ｣
｢ふむ。｣
｢恋人でもないのに、お前とここまで仲良くしていいのかなーって、｣
彼女はきょとん、としてから、考える仕草を見せた。
少し時間を置けば、あー、それなら、と手を叩いた。
｢私と瀬呂くんが恋仲になっちゃえばいい話じゃないかな！｣
｢え！？！？｣
｢私瀬呂くん好きだよ？｣
｢いやいやいや！そうじゃなくてだな！｣
｢違うの？｣
｢違くないんだが！！｣
何言ってるかわかんないよ、と笑いながら返す彼女は、やっぱりどこか自分より余裕げだった。
｢ほら、恋って甘酸っぱいって言うじゃん｣
｢い、言うけどさあ…｣
｢私、恋の味もっと食べてみたい｣
にこにこ、溢れる笑顔にはやはり叶わないようで。
.
.
『もっと恋の味を教えてよ、瀬呂くん、』
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タナタ(プロフ) - 文章の書き方がとても素敵です！良ければ、ホークス書いて欲しいです！これからよ応援しています！ (2月25日 22時) (
レス) id: 4118c67c05 (このIDを非表示/違反報告)
Syara(プロフ) - 滅茶苦茶面白かったです…!!荼毘くんが最推しなのですが他のキャラクター達も読んでみたところ魅力がたくさん…推しが増えてしまいそうです… (2023年2月2日 22時) (レス) id: ebcd0fa8e6 (このIDを非表示/違反報告)
累 - 鉄哲君の物語の甘酸っぱさに1人悶えておりました！とても良い物語ありがとうございました！ (2021年8月16日 9時) (レス) id: 1eb84dbd89 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 短編もステキです(*´ω｀*)かっちゃん姉弟夢…切ないけどツボです！幸せになってほしい(切実) (2019年2月21日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ - 面白いです!リクエストなのですが、飯田君とオールマイトをお願いします! (2018年8月28日 18時) (レス) id: 23dcbd0823 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八尋 | 作成日時：2017年5月27日 17時
