Episode7 朝食 ページ9
Tordは手をひらひらさせながら軽く礼を言うと、そのまま私の部屋を後にした。再び室内に静寂が訪れる。窓から差し込む朝日が眩しい。
_そして私は一つ疑問に思った事があった。
『研究…』
確かにTordは“研究”と言った。Tordは頭が良いため、その様な職に就いていても何らおかしくない。
シャワーが出来ないほどの多忙さなら、おそらくあのTordは既にEdd達のもとから去った後の時間軸から来たのだろう。
なぜならEdd達と同居している時のTordが仕事で家を空けた事は無い筈だからだ。
ではあのTordは軍の研究所に配属でもされているのだろうか。前に呟いていた“機械”の事も、その軍関係のものなのかもしれない。
『うーん…取り敢えず飯作るか…』
普段使わない頭をフル回転させると頭痛がしてくる。今はとにかくTordがシャワーを浴びている間に朝食を作ってしまおう。
それまでベッドにくっついていた重い腰を上げてリビングへ向かう。ひんやりとした廊下に出ると、浴室から水音が響いている事に気が付いた。
…なんだか妙な気持ちになる。
その気持ちを頭を振ってかき消し、私は台所へと向かった。
『さて、なに買ってあるっけな』
私が買い物をする時は疲労困憊状態の時か酔っている時かの二択しかない。そのせいで、毎回何を買ったのか覚えていないため、冷蔵庫の中身はパンドラの箱のようになっている。
『んー卵は……あるな。他になにか__おっ!』
少し乱雑な冷蔵庫の中を漁っていると、ある品物を端で見つけた。手を伸ばし消費期限を確認する。よし、大丈夫だ。
『まさかベーコンが買ってあるとはな。ラッキー』
ベーコンはTordとEddの大好物だ。
コレを買った時の自分を内心褒めまくった後、私はフライパンをコンロの上へ置いた。油をひいて表面が温まるまで待った後、2人分の卵とベーコンをフライパンに落とす。
空腹で唸る胃を刺激する香りが鼻をついた。
油を飛ばしながら卵とベーコンの水分が徐々に抜けていく。主食は食パンでいいか。
予め用意していた皿に焼いた卵とベーコンを移す。ベーコンの肉汁が卵にも掛かっていてとても美味しそうだ。
「この匂いは…」
『あ、Tord』
ちょうどテーブルに2人分の朝食を並べ終わった時、タイミング良く髪をしっとりさせながらTordがリビングへ入ってきた。テーブルに並べられた朝食を見た彼は目を大きく見開くと、嬉しそうな様子で椅子へと座る。
『ベーコン好きなの?』
知ってるけど。
「ああ!大好物だよ」
『へ〜』
喜んでるなぁ〜かわい〜〜
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ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!!Tordと夢主の相性が抜群ですね!!!(?)無理せず更新頑張ってください! (2023年1月25日 8時) (レス) id: 7db4a09c58 (このIDを非表示/違反報告)
大祝 - お久しぶりですー!この作品大好きだったので更新嬉しいです! (2022年10月28日 17時) (レス) id: e74f7c17fb (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - いつも楽しみに待っていました!これからの展開を楽しみにしています! (2022年10月28日 17時) (レス) @page29 id: e11f93c1d4 (このIDを非表示/違反報告)
omio(プロフ) - 更新待ってました!来る日も来る日もチェックさせて頂いていましたが本当に嬉しすぎてやばいです!!次の更新も心待ちにしてます! (2022年10月27日 18時) (レス) id: 0610d9afb5 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!相変わらずの豊富な語彙力羨ましいです…!無理せず更新頑張ってください!! (2022年10月27日 8時) (レス) id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年7月10日 21時