Episode6 起床 ページ8
Tordはぶっきらぼうに一言そう言うと、ブランケットを被りそのまま眠りに着いた。私はと言うと、今のTordの発言でその場に固まっている。
ほう…?敬語無しとな……??
自惚れかもしれないが、少しは警戒心を解くことが出来たと思っても良いのだろうか。見知らぬ女の家で無防備に寝息を立てるTordを見ながらそう考える。
……これ以上考えても仕方ないか。とりあえず靴箱に投げ捨てた拳銃を回収たりベッドを注文したりしてから私も寝よう。捕まりたくないし。
__ソファーで横になるTordを目に焼き付けながら、私は静かにリビングの扉を閉じた。
***
__早朝6時。
身体を襲う気だるさと戦いながら、私はスマホのアラームを止める。ゆっくりと上半身を起こし、秋中旬の肌寒さを感じながら適当にカーディガンを羽織った。
ぼーっとした頭で部屋の扉をじっと見つめる。…昨晩の非現実的な出来事がまだ頭から離れない。
もしかしたら夢だったのでは?
宝くじが当たった事や酔った勢いのテンションが相まって幻覚でも見ていたのかもしれない。
と、一瞬考えたが、それは机の上に置いてある一丁の拳銃によって否定された。
『…現実かぁ〜……』
未だに信じられない。Tordがこの世界にいるなんて。
混乱やら嬉しさやらで朝っぱらから頭を抱えていると、コンコンと部屋の扉が叩かれる。突然の出来事に驚き肩を跳ねさせると、扉の向こうから少し気だるそうな彼の声が聞こえてきた。
「A起きてる?」
『えっあ、はい、おはようござ__あ、お、おはよう』
“敬語は無し”という昨晩の言葉を思い出し、焦っておかしな返事を返してしまった。少しの沈黙が続いた後、扉の向こうから小さな笑い声が微かに聞こえてくる。
笑われてしまった事実に羞恥心で口をパクパクさせていると、「入るぞ」という掛け声と共に扉がゆっくりと開いた。
「いや悪い悪い。お前の焦り様が面白くってついな」
『__…』
まだ笑いの余韻が引かないのか、言葉の合間合間に笑い声を挟みながら私に近付いてくるTord。おそらく顔が真っ赤になっている私の表情を伺うと、何かを思い出したようにTordは口を開いた。
「そうだ、聞きたい事あったんだ」
『……?』
「最近研究続きであんまり身体洗えてなくてさ。だからシャワー借りてもいいか?」
『ああなんだそんな事か…いいよ全然。好きに使ってくれちゃって構わないよ。タオルは2番目の棚の中に置いてあるから』
「そうか。ありがとな」
72人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!!Tordと夢主の相性が抜群ですね!!!(?)無理せず更新頑張ってください! (2023年1月25日 8時) (レス) id: 7db4a09c58 (このIDを非表示/違反報告)
大祝 - お久しぶりですー!この作品大好きだったので更新嬉しいです! (2022年10月28日 17時) (レス) id: e74f7c17fb (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - いつも楽しみに待っていました!これからの展開を楽しみにしています! (2022年10月28日 17時) (レス) @page29 id: e11f93c1d4 (このIDを非表示/違反報告)
omio(プロフ) - 更新待ってました!来る日も来る日もチェックさせて頂いていましたが本当に嬉しすぎてやばいです!!次の更新も心待ちにしてます! (2022年10月27日 18時) (レス) id: 0610d9afb5 (このIDを非表示/違反報告)
ベンザチャン(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!相変わらずの豊富な語彙力羨ましいです…!無理せず更新頑張ってください!! (2022年10月27日 8時) (レス) id: 05631b7c6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちまき | 作成日時:2022年7月10日 21時