24話 ページ24
「チユーー！！」
次第に赤黒く腫れ上がっていた指が元の状態に治っていく。
棚から包帯を取り出し「終わりだよ」と負傷した指に巻いて治療は終了した。
「すごい、治った……！ けど、なんか疲れがドッと……」
「私の個性は人の治癒力を活性化させるだけ。治癒ってのは体力が要るんだよ。大きな怪我が続くと体力消耗しすぎて逆に死ぬから気をつけな」
「逆に」
「死ぬ！？」
二人は治癒個性の恐ろしさに身を震わせる。
リカバリーガールは白衣のポケットから有名なヒーローがモチーフされた錠菓キャンディーを手に取り出すと緑谷に数粒配った。
「痛みが引いたなら気をつけて教室に戻るんだよ。無理はしないように」
「は、はい！ ありがとうございました！」
「さ、お次はアンタさんだよ」
緑谷は教室に向かおうとして扉の前でふと立ち止まった。
その場で振り返ると、右手を診せている背中が目に映る。
「千歳さん」
Aは右腕を差し出したまま椅子ごとくるりと回って顔を向けた。
自分よりも先に治療を優先したこと。
怪我の説明をしようとした際、被せるように個性を解いたこと。
個性に関して話してほしくない事情がきっとあったのだろう、と緑谷は一呼吸置いて屈託のない笑顔を見せた。
「さっきは助けてくれてありがとう！ 千歳さんもお大事にね、また明日……！」
包帯の巻かれた右手がひらひらと揺れる。
それを目にしてAも急いで空いている左手で小さく返した。
その姿を最後に緑谷は礼儀良く部屋を退出した。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
