12話 ページ12
テストの種目は再びソフトボール投げに移る。
既に測り終えた爆豪を除く二十人は、個性を使って中学時代の記録を上書きしていく。
中でも、無重力の個性を持つ麗日が計測不可能な無限の記録を叩き出した時は、この授業内で一番の盛り上がりを見せた。
前者の投球が終わりAの番になるが、毎度投げ渡していた球は未だ相澤の手の中に収まったままだった。
一歩ずつ距離を詰めても渡す様子がなく、彼のモットーである合理的とはかけ離れた行動にAは疑問を抱いた。
そのボールください、と意思を込めて両手を差し出す。
そこで漸く相澤はAの手のひらの上にそれを乗せた。
だが、離すことはなく文字通り手の上に乗せただけ。
Aは球を片手で掴んだがビクともしない。
「あの、ボールを……」
「測定時の様子を見てたが、まだ本気で挑んでないのか。他の奴らは疲労が一目瞭然。ヒーローを目指すなら中途半端に挑んでもらっては困る」
「ええ……ちゃんと疲れてますよ？ 最下位とらないように頑張ってますし」
「今のお前の実力で最下位にはならないよ。まさかとは思うが除籍処分を避けられればいい、なんて考えてないだろうな？」
「……いや？」
「図星だろ」
目を泳がせたAに鋭い視線が向けられる。釘を刺されてぐうの音も出なかった。
これほど早くに説教をされるとは考えもしておらず、恐ろしい相澤の顔も直視できない。
「気にしなくてもお前の個性ならもっと記録を伸ばせる。今から本気で取り組め。残り三種目も楽に終わろうとしてるの見えてるぞ」
頑なに全力や本気を強調する相澤に対して、Aは最下位を回避しつつ程々の力でテストを終えたかった。
唇を尖らせて「絶対に最下位にはならないのに……」と呟くと、被せるようにドスの効いた声が聞こえた。
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やおや(プロフ) - きゃーぽんさん» ご感想、応援をありがとうございます。お楽しみ頂けるお話をお届けできるよう努めますので、今後もどうぞよろしくお願いします…！ (2021年4月20日 0時) (
レス) id: 889f105f89 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - めっちゃ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月5日 16時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やおや | 作成日時：2021年1月29日 2時
