二十八.背中合わせ編 ページ28
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「見廻り行ってきます」
屯所を出て、千影と並ぶ。
研修期間とやらもいつの間にか終わり、隣に沖田はいなくなっていた。
いわゆる独り立ちだ。
とはいっても、
「雨の日の見回りって鬱だよねえ」
「パト乗れるだけ、有り難いと思うしか」
完全なる一人ではない。
隣の隊員が入れ替わりになるだけだ。
成長させるためか、同期である千影と組むことは多かった。
「すみません。前の赤色の車の方、端に寄って止まって下さい」
前の車両の運転手がサイドミラー越しに、A達を確認したのを目視する。
ゆっくりと端に寄り、停車する。
A達も続いて後ろに車を付けた。
「すみませんね、突然」
にこにこと笑みを浮かべ、降りてきた運転手に近づく。
運転手は若い男だった。
A達の姿を見て、嫌そうな顔をした。
「何すか」
明らかに機嫌が悪い。
それもそのはずだ。
彼の車の中には、もう一人いて、不安そうにこちらを見ていた。
「先ほど、運転中に携帯電話を触られていませんでしたか？」
「…触ってねえよ」
歯切れが悪い。
千影は、この車両を停める手前、
『あの運転手、長いこと電話してる』
と言った。
千影に言われ、Aを見たが、電話片手にハンドルを握っていた。
ほんの少しであれば見逃してやろうかと思ったものの、パトカーにも気付かず長々と電話をしていた。
「私達、先程あちらの交差点から、あなたの電話している姿を確認致しまして」
「どうせ見間違いだろ」
こういったタイプは自分の非を一切認めない。
「大体、お前ら最近入ったって噂の女警官だろ。新人にありがちな先入観じゃねえの」
それどころか、相手のせいにする。
このタイプに何を言っても無駄である。
千影は溜息をつき、携帯電話を触る。
反して、Aは車両後方の窓を叩いた。
「お姉さん、すみません」
「おいてめえっ」
手を出しそうになる男を千影は止め、携帯電話の画面を見せる。
そこにはばっちりと証拠が写っていた。
「はいはい、暴れない。ほら、これが証拠。楽しそうに電話してますよ」
男は腕をとられ、するどい目つきで千影を睨む。
その隙に、Aは後方の扉を開く。
「やめ」
不安げな顔した女は、こちらをまっすぐ見ている。
その少し不気味な雰囲気に、Aの勘は当たっていた。
「その痣…」
長袖の下に隠れるようにして、痛々しい跡があった。
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Nattu(プロフ) - 早桃さん» 初めまして‼︎ｺﾒ嬉しいです〜ありがとうございます;;ゆったりまったり続けていきますのでお付き合いいただけたらと思います。最高と言っていただき凄く嬉しかったです;;; (2022年4月5日 23時) (
レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最高です、、、！本当に面白くて、土方さんとこれからの進展が楽しみです。いつまでも応援しています😌 (2022年4月2日 12時) (レス) @page30 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年2月15日 22時
