二十四 ページ24
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「悪い、呼び出しだ」
腕を引かれ、帰路に着いた矢先、その手は離れていく。
「先に帰ってますね、送ってくれてありがとうございます」
「おい、待て」
送ってくれる嬉しさよりも、申し訳なさが勝って静止を聞かずにまた帰路へと戻る。
久しぶりの一人の帰路。
いつもなら土方や千影、誰かが隣に居た。
明け方に近い、人一人いない薄暗い夜道。
(何かあるかもしれない)
Aの中の警鐘が鳴っている。
着物の脇に隠した小刀に触れ、存在を確認する。
まだ、人を斬ったことはない。
それが故に緊張が走る。
(斬りたくはない)
Aの中でこれだけがぐるぐると渦巻いていた。
事件事故で血を流し苦しそうにしている被害者を見て、何度もそう思わされた。
それが犯罪者であっても、極力辛い思いをさせたくはなかった。
しかし、真選組の方針は違う。
唯一の相違点だった。
特に尊敬している土方は、人を斬ることに対してあまり抵抗はなさそうだった。
「ん、電話」
考え事をしながら歩いていると、携帯電話が鳴る。
相手は先程まで隣にいた彼。
すぐに電話に出るも、
「おい、待てっつったろ」
怒った声がAに降りかかる。
時折、かちゃかちゃと刀が揺れる音が聞こえる。
「まだ時間かかると思って」
「今どこだ。すぐ向かう」
場所を伝えようと、きょろきょろと辺りを見回す。
「今、ちょうどかぶき町の大江戸マー」
言いかけて、動く口が止まる。
誰もいなかった道に、女が一人立っている。
暗闇の中、髪も長く表情は見えない。
空いた手が小刀に伸びる。
「おい、A」
「土方さん、すみません、一旦切ります」
「切るな！待」
忠告を無視し、通話終了のボタンを押す。
女はゆらゆらと不気味な雰囲気で、Aのほうへ歩いてくる。
距離が近づいて、視線が明らかにこちらを見ていることを目視した。
(何だ…？)
目がばっちりと合う。
誰かを憎むような鋭い目つきだ。
ぞくぞくと寒気が走る。
隊服を着ていれば職質ができるも、今はそういうわけにはいかない。
ただ、姿を見るだけだ。
(見てくるだけ？)
何事もなく、すっと女は過ぎていく。
少しだけ後ろを気にしながら歩くも、彼女は振り向きもしない。
(気のせいか)
そう思ったのも束の間、
「ぅわっ」
「大人しくしろ」
通りかかる大江戸マートから出てきた店員に、羽交締めにされていた。
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Nattu(プロフ) - 早桃さん» 初めまして‼︎ｺﾒ嬉しいです〜ありがとうございます;;ゆったりまったり続けていきますのでお付き合いいただけたらと思います。最高と言っていただき凄く嬉しかったです;;; (2022年4月5日 23時) (
レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最高です、、、！本当に面白くて、土方さんとこれからの進展が楽しみです。いつまでも応援しています😌 (2022年4月2日 12時) (レス) @page30 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年2月15日 22時
