十壱.スケッチブック編 ページ11
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朝礼を済ませ、業務へと着こうとした時。
「A、千影。来週の休み前日の晩空けとけよ」
急に土方からのお達し。
ジャケットを羽織る手を止め、千影と顔を見合わせる。
ちょうど千影と休みが被り、二人でどこかに行こうと昨晩話していたばかりだった。
「A達が来てだいぶ経つというのに、歓迎会もしてなかったから、今更だけどしようと思ってな！」
後ろから歩いてきた近藤は明るく言い、A達の肩を抱く。
それは、まるで参加しろという圧力とも感じた。
(困ったな…)
ちょうどその晩から次の日まで、少しだけ遠出をして泊まろうかと計画立てていたのだ。
千影は早々と出掛ける荷物を詰め、宿泊施設に連絡を入れていた。
「あ、あの…」
そんな彼女は申し訳なさそうにおずおずと手を上げる。
「ついこないだ、沖田さんに外泊申請書出したはずなんですけど…」
「あ？外泊だあ？聞いてねえな」
土方は素っ頓狂な声を上げる。
とても嘘をついているように見えない。
ちらりと近藤を見るも、首を傾げている。
二人の様子を見ながら、まさか、と千影とその主の部屋を見る。
ちょうどよく扉が開いて、
「外泊？俺も聞いてないですぜ」
わざとらしく欠伸をして、大きく伸びをした。
千影はあり得ないと言ったように、顔を顰めた後、沖田に食ってかかる。
「私絶対出しましたよ、Aのと二枚分」
「さあ？勘違いじゃないですかい」
「いーえ！絶対出しました！」
ギャンギャンと騒ぐ彼女に、男は動じずにやにやと笑みを浮かべるだけ。
きっと許可証を出す頃にはこの予定は決まっていたのだ。
その場では突き返さず、今になって言うあたり拒否権を無くされているも同然だった。
「千影」
今にでも上司に手を出してしまいそうな勢いの同期を引き剥がす。
彼女は、だって、と悔しそうに頬を膨らませた。
「また今度にしよう。今度はさ、近場じゃなくてもっといいとこにしようよ」
微笑んで無理矢理に宥める。
「すまんねえ、二人とも」
「いえ。大丈夫です。当日、楽しみにしてます」
未だいじけている千影を抱え、笑い返す。
不意に土方が笑みを浮かべて、
「代わりに旅行とやらに行けないくらいに飲ませてやる」
煙草の煙を吐いた。
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Nattu(プロフ) - 早桃さん» 初めまして‼︎ｺﾒ嬉しいです〜ありがとうございます;;ゆったりまったり続けていきますのでお付き合いいただけたらと思います。最高と言っていただき凄く嬉しかったです;;; (2022年4月5日 23時) (
レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 最高です、、、！本当に面白くて、土方さんとこれからの進展が楽しみです。いつまでも応援しています😌 (2022年4月2日 12時) (レス) @page30 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2022年2月15日 22時
