-5, にちようび（裏面） ページ10
日曜日なんて大嫌いだ。学校が休みだから、Aに会えない。家にいようが、外でサッカーを練習しようが、何も感じないなら意味がない。
でも、今日はきっと最高の日曜日だ。特に意味もなく街を歩いていたら、CDショップにいるAを見かけたから！当然僕も入店した。
「あれ、A〜！ 偶然だね」
僕が声をかけると、彼女はふわりと笑ってこちらに駆け寄ってきた。可愛い。彼女からこっちに来てくれるときのAは格別だ。灰色だった日曜日が鮮明な色で溢れていく。
「珍しいね。普段、あんまり音楽聞かないでしょ？ ……もしかして、誰かの影響だったり？」
その一言で、先日学校で話したことが頭によぎった。『幼馴染だからって私にばかり構ってないで、自分の教室の人とも仲良くしないとだめだよ』って。
どうしよう、Aを見かけたから、って言いづらい。少しでも喜んで欲しい。がっかりした顔見たくない。Aには笑ってて欲しい。
「たまには、何か音楽も聞いてみようかなって……その……友達の、影響で」
こんなこと、言いたくない。A以外に影響されることなんてあり得ないのに。
僕にはAだけなのに！ただ1人、Aだけに与えられた感情で、Aにだけ笑いかけたいのに！
「よかったぁ……結構心配してたんだよ？ 普段、私にばっかり話しかけにくるからさぁ」
違う、伝えたい。好きって言いたい。もし振られたら？ 今の関係はどうなる？ 頭の中でいくつもの声がぐちゃぐちゃ混ざり合う。
思考が汚い黒に染められ切る前に、僕はいつもの自分をどうにか引っ張り出してきた。
「ね、A！ AのおすすめってこのCDなの？ なら僕も買おうかな。せっかくなら色んなジャンルを聞きたいし」
彼女はパッと花が咲いたように、明るい様子で手を合わせた。
「最高！ 私も会計まだだから、並んでくるね」
ぱたぱた走って列に並びに行く背中。待って、行かないで。僕と片時も離れないで
「ねぇ、一緒に並ぼ？」
自分の声と思えないくらい悲痛な声になってしまった。媚びたように聞こえたかもしれない。
しかし、彼女は僕の異変に気が付かないでくれたようだ。君はいつも通り、しっかりものの顔で言うのだ。
「……やっぱり身内至上主義者！」
結果Aは僕と一緒に並んでくれたから、もう身内大好き人間の認識でいいかも。
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
