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4, おかいもの/親友 ページ7

──これは、私達が小学5年生の頃の話。後に親友になる私達が、まだ友達だった頃の話。

 まだ子供の私にとって、大人が付いて来ていない買い物の機会はそう多くない。友達と2人でショッピングモールに来るなんて、なかなかないことだ。

 きらきら光るペンと、メモ帳と、飾りのついたヘアゴムと……とにかく、目を惹くものだらけだったから、いろんなお店に行った。はしゃぎすぎたせいか、ちょっと彼女の足取りが重くなっていた。

「ちょっと疲れた?」

「あ、いや、大丈夫だよ。Aは平気?」

 まだ子供の私だって、彼女が無理して笑っているのはわかった。だから私は、近くのベンチを探して隣り合って座った。友達が悩んだり落ち込んだりしているなら、きちんと知りたい。分かりたい。

 私が真剣に彼女を見つめると、少しの間、彼女は目を閉じたり、手を組んで、組み替えてを繰り返していた。私に伝えるか否か、迷っている途中ってことだろう。

「じゃあ……ちょっと嫌かもしれないけど、聞いてくれる?」

決心を決めて口を開いた少女が上目遣いに私を見つめる。もちろん、と私も大きくうなずいた。

「私ってさ、重い……かな?」

「えっ?」

 意外過ぎて声が出ちゃった。重い? 何が? 女の子だし、体重かな? 再びうつむいてしまった彼女の様子から、相当本気で不安がっていることが理解できた。見捨てられた子犬が雨に打たれて震えている様子を思い浮かべる。

 たしかに元気いっぱいに動くから多少筋肉質ではあるけれど、基本的には細身の女の子。重いとは思えない。きっと教室で男子にからかわれたんだ……ひどい!

 どうしてもこの子を元気づけたい。その一心で、私は彼女の手を取った。

「重くないよっ! 全然そんなの気にしなくていいんだから」

顔をあげた彼女が驚いて目を真ん丸にする。重ねた手が少し緊張で汗ばんだ。彼女の体温が熱く伝わってくる。

「周りの人に何言われても、絶対私は味方だよ。友達だもん!」

 彼女はぱちぱちと瞬きしながら私を見つめていた。次に私の言葉を反芻するように何度か頷き、最後には満開の笑顔を咲かせた。

「そう、だね……友達だもんね!」

 今日のおかいものでは、お金じゃ買えないものを見つけられた気がする……できればいつか、この子を親友って呼びたいなって思えた。


──────
「やっぱり……Aは天使さまだったんだ!」

-4, おかいもの(裏面)→←-3, 集会所の君(裏面)



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設定タグ:ヤンデレ , 夢小説 , 芳一のヤンデレシリーズ   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます!お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです!!ヤンデレ系のお話大好きなんです!!バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます!大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…!ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです!! (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます!なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バニー芳一 | 作成日時:2023年8月4日 11時

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