-3, 集会所の君（裏面） ページ6
本来、集会所の学習ボランティアは全ての子どもに平等でなくてはならない。
だが、俺は1人の小学生を＿＿さんに押し付けた。本当はちゃんと対応しないといけないのだが、目の前にAさんがいるのだから仕方がない。ただでさえ頻繁に会える相手ではないのだ。今日くらいは俺の好きにしていいだろう。
全ては一目惚れから始まった。地域祭りの時に見かけてから、もう何年もAさんに恋している。大学入学後も、他の女子は目に入らなかった。
計算がわからないって困る顔も、俺に頼ってくるときの顔も。全部独占できたらいいのに……そう思うたび、背中に自分を殺したいほどの自己嫌悪がのしかかる。考えろよ、彼女との年齢差。この子が俺みたいな歳上を望むわけないだろ。
「＿＿さんと仲良いんですか？」
「全然？ 集会所でしか顔合わせないし、中学の頃も学年違ったからね」
ふと話しかけられるだけで、その声の愛らしさに頬が緩む。Aさんしか見てないから集会所のメンツが頭に入ってねぇけど。
「なんか、大変ですね」
……もしかして、俺の話してくれるの？ 少しでも俺に興味を持ってくれてる？ 俺今日死ぬのかな。
「私みたいに何回も勉強教わりに来て、すごい手間取らせてますよね」
「君のセンセイ役してる時が1番癒しだよ？ もっと来ていいんだから、遠慮とかしないで」
即答すぎて不自然だっただろうか。正直ドキドキしてたから仕方ない。
そりゃバイトあるし、レポートとか課題も溜まってるし、やること多すぎて吐きそうだけどさ。その癒しがAさんなんだから来ないわけないでしょ。俺に迷惑かけてると思ってるのか。なんだそれ可愛いがすぎる。
「そういえば、どうして自治会スタッフになったんですか？」
「ん？」
舞い上がっていた頭がサッと冷める。自分自身でも、顔から表情が抜け落ちているのを理解できた。
「私だったら、そんなに周りの人に優しくできるかなぁって……」
素直に『一目惚れした子とお近づきになるためです』なんて言えるわけない。俺が優しい理由を知らない、彼女の純粋な疑問には心が痛くなる。
「頼られるのが好きだからかな」
"誰に"頼られたいのか伏せていることに、君は気が付かないだろう。気が付かれる必要はない。だから答案にマル、ひとつひとつに愛を込めて。
「ほら、よくできてるよ。Aさんは飲み込みが早いから、教えがいがある」
俺の言葉でそんなに嬉しそうな顔されたら、攫いたくなるだろ？
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
