3, 集会所の君/大学生 ページ5
放課後、私は地域の集会所に行くことがある。そこではボランティアの大学生達が勉強を教えてくれているからだ。
いつも私に教えてくれる大学生のお兄さん。この人は多分、仕事ができるタイプの人だ。
「＿＿さん、こっちお願い」
今だって、複数の生徒に話しかけられても冷静に対応してる。お兄さんに呼ばれた__さんは小学生達に掛け算を教え始めた。
他の人に仕事を割り振るって、結構難しい気がする。だって任せるのって億劫じゃないかな？ 仲がいい相手なら、そんなことないのかな。どうなんだろ。
私の答案用紙にマルつけする、真剣な顔をじっと見る。目つきからして真面目って感じだけれど、今、質問してみてもいいのかな。
「＿＿さんと仲良いんですか？」
私の答案用紙に丸をつけていたお兄さんは、チラッとこちらを見て笑った。
「全然？ あの人とは集会所でしか顔合わせないし、中学の頃も学年違ったからね」
特に友達でもない人と協力して作業しなきゃいけない、大人って大変だ。……なんとなく言葉にし辛い罪悪感を抱く。私の対応をしていたせいで、忙しくさせてしまった気がする。
「なんか、大変ですね。私みたいに何回も勉強教わりに来て、すごい手間取らせてますよね」
「君のセンセイ役してる時が1番癒しだよ？ もっと来ていいんだから、遠慮とかしないで」
……こういうとき即答してくれるこの人は、大学でモテるんだろうなぁ。周囲の同級生と違って、表情ひとつ変えずに優しい言葉を言える。大人ってそういうことなのかな？
折角の機会だから、私はもうひとつ思いついたことを口に出す。
「そういえば、どうして自治会スタッフになったんですか？」
「ん？」
「私だったら、そんなに周りの人に優しくできるかなぁって……」
彼の顔から笑顔が失せた。
どうしよう、聞いちゃいけないこと聞いたかな。お湯が蒸気になって飛ぶみたいに、私の冷静さも飛ぶ。
「頼られるのが好きだからかな」
そう答えた彼は、優しい微笑を口元に浮かべ、穏やかに目を細めていた。よかった、焦ったけれど、変なことを聞いたわけじゃなかったみたいだ。
彼が見せてくれた私の答案用紙は、丁寧に丸がつけられていて。
「ほら、よくできてるよ。Aさんは飲み込みが早いから、教えがいがある」
──────────
「計算がわからないって困る顔も、俺に頼ってくるときの顔も。全部独占できたらいいのに」
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
