-20, 隣の貴方へ（裏面） ページ39
学校から帰宅して、まず僕は部屋の床に座り込んだ。全身から力が抜けて、震えるような笑い声と共に片手で顔を覆う。
「Aに嫌われてなかった……まだ生きていける……」
自分でもずいぶん弱々しい声だと思うが、家族は皆何かしらの用事で外出していて今は1人だ。どうせ誰にも聞かれていない。思う存分呻いてやった。
あの時の僕はどうかしていた。ほんの少しでも彼女から離れるなんて、気が狂う。もしあのまま会いづらい空気になってしまったら、Aを失っていたら……考えるだけで身震いしてしまった。
その分、今まで通りの関係に戻れた喜びがひどい熱量で僕の体をほてらせる。ひとまず、頭を冷やそう。今日のことで興奮しすぎている。仲直りの余波がこんなにも大きいなんて思わなかった。また1つAに新しい感情を教わった、その事実がまた僕を昂らせる。
安心したせいか喉が渇いた。グラスに注いだ水を一気に飲み干すと、僕はそのままシンクに頭を下げ、蛇口を捻る。
1人きりでしばらく流水の音を聞いていた。そして十分熱が取れてから僕はようやく水を止めた。
「……まあ、仮に嫌われても、やること自体は変わらないか」
フェイスタオルで濡れた髪を包み、シャンプーする時みたいにわしゃわしゃと手を動かして拭いた。ただ淡々と、Aの名前を呟く。
「A、A、A……」
何度も口にすることで、僕に刻みつけたいから。唇に希望携え放つその名前は、放つ度に光となって一寸前を照らし消えて行く。もっと、もっと君を僕のものにしたい。
Aを僕の1部にしたい。
愛するって、こういう感覚なんだなぁ。僕は希望を携えて心臓の当たりを両手で抑える。
「……まあ嫌われても拒否されても、会いに行くけどね。一生一緒にいていいって言うまで」
君の隣に僕がいる、そんな未来を想像すれば思わず笑みが漏れる。横に君がいる生活、それだけが僕の希望。だから君がいない未来なんて考えられないんだ。
その後、ふとスマホを見ると、検索欄に昨晩調べたワードが残っていた。
眠れない中、ワードボックスに入れた「心中 愛 やり方」の記録にバックスペースを連打する。得た情報を使わなくて済んだことに安堵の息を吐いた。
君がいない未来を歩むくらいなら、君と一緒に全部終わりにしてやる覚悟だ。
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
