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18, 君の隣は?/大学生 ページ33

最近、クラスの皆が色気付いている気がする。いやクラスだけじゃない。学年全体で「だれだれがカップルになった」「だれそれがフラれた」だのと話題になっている。

 目の前にある結婚情報誌はそのせいだろうか。私はいつも通り勉強を始めようとしたが、誰かが集会所に持ち込んだそれに気を取られていた。

 ぱらぱらとページをめくると、プロポーズからそれぞれの親に挨拶するまでの流れが、すごろくのようなイラストで描かれていた。ゴールでは花嫁がブーケを投げているが、私の目はすごろくの道中に釘付けになっていた。

「私って結婚できるのかな」

思わず独り言が出てしまった。しかし、それを聞いていたらしい彼がこちらを見る。

  ぱっちりと目が合った彼は優しく目尻を下げて笑った。いつも通りの笑顔、でもどこか悲しそうな目をしているように感じた。

「できるよ、Aさんがしようと思えば」

視線を落とした彼は、1つ息をついてから続ける。

「Aさんが結婚したら引出物のバームクーヘンが食べれるな〜。学生時代お世話になった人として、式に呼んでね〜」

陽気に小指を立てて「呼んでね」と言うその仕草を見ても何も反応しない私を見て、わずかに口角が押し下がったように見えた。式に誰を呼ぶとか、そんな具体的に考えたことがなかったから。

 だから「なんですかそれ」と彼の冗談に合わせて笑うしかない。お腹を抱えて笑うほどではないけれど、けらけらとその場を明るくするように。

 きっと彼のことだから、私が将来に不安を感じていると思ったんだろう。私に恋愛経験がないことは知ってるはずだから。けれど実際は少し違う。どんな人と交際することになるのか考えていたのだ。

 どんな人と人生を歩むんだろう。この人みたいな大人の男性かな、それとも幼馴染みたいな優しい人かな?同級生のK君みたいなやんちゃな人?

 わかんないや、まだ想像できない。でも、いつか結婚する時は彼を式に呼ぼうと決め、私は手元の雑誌を閉じた。

──────

「いつか俺の存在も薄れ、何もなくなってしまう。そういうことが何よりも胸を痛ませる」

-18, 君の隣は?(裏面)→←-17, 知らない男(裏面)



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設定タグ:ヤンデレ , 夢小説 , 芳一のヤンデレシリーズ   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます!お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです!!ヤンデレ系のお話大好きなんです!!バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます!大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…!ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです!! (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます!なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バニー芳一 | 作成日時:2023年8月4日 11時

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