14, 親密図書室 ページ25
クラスの全員が理科(科学)の宿題にため息をついたが、私はそれを優越の目で見ていた。今回はレポート課題で、しかも図書室で参考となる本を1冊見つけてこなくてはいけない。
私は他のクラスから事前にこの課題について聞いていたため、既に本の目星をつけてあるのだ。流石私だ！早速件の本を借りるため、私は図書室にいた。
「あった、司書さんのオススメ！」
目星をつけた本は少し高いところに並んでいた。でも、手を伸ばせば指先が背表紙を捉え、ざらりとしたそれをしっかりと掴めた。
しばらく使われていない本のようだ、他の図書と隙間なく詰めて陳列してあり、簡単には引き抜けなさそうだ。とにかくかたい。背伸びしながらだと手元に力が入れづらくて、私は無理やり引っ張った。
「よし、取れ……つぁ！？」
思わず素っ頓狂な声が出る。強引に引き抜いた本は、勢いのまま"仲間達"を伴って宙を舞った。運の悪いことにどれもハードカバー。重厚感を感じさせるそれらは、今だけは凶器。
全てが、スローモーションに見えた。
──ドサドサドサッ！
咄嗟に目を瞑ったけれど、何も痛くない。……あと、背中に温度を感じる。
「もー、Aったらさ〜」
恐る恐る瞼を開くと、そこには、床一面に広がる本があった。
彼が私を守ってくれたのだ、私を背後から抱きしめた幼馴染が腕の力を緩める。
「気をつけないとだめだよ」
その低い声は、まるで大人の男の人みたいにも感じられた。本が落ちてきたせいだけじゃない、別の意味で心拍数が急上昇する。
一瞬ほうけていた私は、我に帰って気がついた。
「うわ、ごめん！怪我してない！？」
「はい、慌てない〜。こういう時にドタバタ動くと余計に危ないんだよ」
幼馴染は私の肩に手を置き、私が彼の様子を見たり、本を拾ったりするのを制する。その手に赤い痕があり、申し訳なさで暗い気持ちになった。
「痛かったよね、本当にごめん……」
「僕はへーき。それよりA、本借り終わったら一緒に話そ？いつもみたいに楽しく笑顔で〜」
彼の柔らかな笑顔は、こんな時こそとびきり優しく見える。差し出された手の反射光ですら、暖かい光をまとっていた。
────
「僕を心配してくれている。僕だけのために罪悪感を抱いてくれている。僕だけを映すその瞳。また恋に堕ちる」
-14, 親密図書館（裏面）→←-13, 笑顔の魔法（裏面）
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
