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13, 笑顔の魔法/親友 ページ23

自分のせいじゃないのにしかられるって、とても苦しいことではなかろうか。少なくとも私は泣きそうです。

「班員以外に手伝わせて、恥ずかしくないのかね!自分の班でしっかり行うことでだな……」

掃除当番なのに、私の班員は勝手に帰ってしまった。だから仕方なく掃除しており、他の班の親友も手伝ってくれたけれど……なぜかこの生活指導の先生は気に入らなかったらしい。

 むしろ私も被害者なんだけど。掃除しないで逃げた男子を叱ればいいのに。

「全く君は、担任にも報告させてもらう!恥を知りなさい!」

廊下中に響き渡る大声で叱るため、何人かの生徒がこちらの様子を見ている。最悪すぎてなんだか泣けてくる……。

「Aはむしろ1人で頑張ってたんです、だから私も手伝ったんですっ!」

ハッと顔を上げる。私の親友は凛とした表情で目の前の教師に立ち向かっていた。生活指導員のくせにちょっと彼はたじろぐ。

「Aのこと悪く言わないでくださいっ!」

強く言い切られた先生は、何やら小さな声でもごもごと喋っていた。うまく聞き取れず私達が怪訝な顔をすると、甲高い声で捨て台詞を吐いて教員室へ小走りに帰っていくのだった。

 結局捨て台詞も聞き取れなかったけど、多分覚えてろ、とかその辺りだろう。であれば、親友もあの人に目をつけられたに違いない。途端に申し訳なくなって胸がきゅっと締め付けられる。

「ごめんね、変なことに巻き込まれて」

「全然!むしろもっと頼ってよ!」

興奮が冷めない様子で彼女は頬を膨らませる。

「親友なんだから、もっと頼って欲しいよ……私、Aがあんなふうに言われたの許せないよ」

私の涙はとっくに引っ込んでいたけど、むしろ今は彼女が泣きそうだった。こんなふうに思ってくれる子が親友で、私は幸せ者だ。やっぱり私の生活は善人に囲まれている。

 帰るまでに2人で担任の先生と話しに行くと、「それは災難だったね。勝手に帰った奴らは叱っとく」と同情してくれた……私も親友もホッとして胸を撫で下ろした。

 翌日、その担任の先生はホームルームで神妙な顔つきをしていた。

 私を叱った先生が階段から落ちたらしい。原因は杖が壊れたことらしく、家族が近くにいる中で起こった事故のため事件性はないとのことだった。



 なんとなく、偶然とは思えなかった。

──────

「Aが幸せで、Aと親友でいられるなら、それ以上を望むこともない……笑顔を奪う相手には容赦しないのだぁ」

-13, 笑顔の魔法(裏面)→←12, キスの経験/大学生



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設定タグ:ヤンデレ , 夢小説 , 芳一のヤンデレシリーズ   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます!お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです!!ヤンデレ系のお話大好きなんです!!バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます!大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…!ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです!! (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます!なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バニー芳一 | 作成日時:2023年8月4日 11時

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