11, キスの亜種/幼馴染 ページ21
ピュア部門、その2
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「よくこんな暑さで走れるな……すごい」
ヒリつくような炎天下。幼馴染がサッカー部なのは知っていたが、汗を流す彼を見る機会は中々ない。
2色の選手がもつれあう集団にボールが消えるお、1人の少年が集団を抜け出す……幼馴染だ！無機物のはずの白黒の球体は、彼と息を合わせるかのようにぐんぐん進む。
1歩踏み込んだ彼が、片足を軸に強く蹴り出したボール。それはガタイの良いキーパーの脇をいとも簡単にすり抜けた。
上がる歓声、幼馴染に駆け寄る多くのサッカー部員。多数の仲間に飛びつかれながらも、彼はいつも通りのゆるく穏やかな笑顔を浮かべていた。
ゲームは1点差で僅差の勝利。最後まで気が抜けない試合で、観戦する側も緊張した。蒸し暑い中で集中したせいか少しくらくらする。
試合後の彼を訪れると、タオルを首にかけたまま目を輝かせてやってきた。
「A〜！さっきスタンドにいたの見えたよ、来てくれたんだね」
勝ち星を拾ったヒーローは、指でVの字を作る。私は小さく拍手しながら言った。
「お疲れ様、大活躍だったね」
「……Aさ、ちゃんと水分補給した？この前も体調崩してたから心配」
びっくりしてつい口が開いてしまった。まさか、私がくらくらしてるの気がついたのかな？彼が私に水筒を差し出す。
「ほらスポドリ……あー、一回口付けちゃったけど平気？」
「うぇ！？」
開いてた口から思わず声が出た。すると彼はちょっとたじろいで、申し訳なさそうに目を逸らす。
「ごめん、嫌ならやめるけど……」
「あ、いやちがうちがう！」
反射的に否定すると、不安そうに下がっていた彼の眉が少し持ち上がった。
「これ、間接キスになるでしょ？」
幼馴染が淡々と口にした言葉に、私の心臓は止まりそうになった。私がどれだけ彼を意識したことか！先日おでこをくっつけた時から思っていたが、私達の距離はずいぶん近くなっているようだ。
彼はじっと私を見つめる。真摯な眼差しから無意識に逃れたくなって、目のやり場を探す。
「A、僕を見てよ」
たったその一言だけで、私は彼に釘付けにされた。
「『嫌ならやめる』って言ったら、『違う』って言ったよね……？」
自分のうかつな発言に後悔する。間接キスが嫌じゃない、って感じになっちゃったじゃん！嫌なわけ、ではないけど……！
2人して気持ちは同じらしく、とんでもない恥ずかしさに顔を熱くしていた。
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
