2, 隣のクラス/幼馴染 ページ3
昼休みは同性の親友と話すことが多いが、同じくらい私に話しかけに来る彼がいる。生まれた病院から一緒の幼馴染だ。
「A〜、今ひま〜？」
ふわりと微笑んだ彼が私の教室を覗く。今年は別のクラスだけど、それでも会いに来る。
暇なことには暇なのだけれど、早足にこの場を去りたいようないたたまれなさに襲われた。
そりゃそうだ、サッカー部のエースが何日も連続で私に会いに来たら流石に目立つ、噂が立つ！ 私は彼の腕を掴む。
「場所変えよ？」
「ん、なんか用事？」
「違うみんなが見てるからっ！」
どうして周りに見られても気を使わないのか。モテるくせに、話し相手なら部活の人がいるくせに！
彼はなにもわからない様子で、私に引っ張られるがままに屋上前の階段までやって来た。
私の焦りをよそに、ゆるふわな笑顔は動じない。
「なんだかよくわからないけど……2人っきりになると落ち着くねぇ」
……少しは動じて。
それはさておき、雑談すること自体は楽しい。午前中の授業の話とか、昨晩見たテレビの話とか、通学前に読んだネット小説の話など、とりとめもないことを思い返す。
「って私の趣味の話なんて聞いて楽しいの？」
「楽しいよ〜？ Aがいなかったら、僕は1人ぼっちになるよ」
「身内至上主義の寂しがりめ……！」
そう、彼はこう見えて身内至上主義だ。誰にでも平等に微笑むように見えて、本心では誰にでも平等にそっけない。私が「あの人、面白いよね」と話しても「それ誰だっけ？」と宣う。
彼は長く一緒に過ごした相手以外に興味を持たないのだ。きっと私のことも姉か妹、あるいはいとこの代わりとして考えているに違いない。
「幼馴染だからって私にばかり構ってないで、自分の教室の人とも仲良くしないとだめだよ。私はもう行くね」
私がその場を離れようとしたとき、くい、と袖が引っ張られた。びっくりして振り向くと、彼は寂しさを湛えた兎のような瞳で私を見つめた。
「もう行っちゃうの……？ まだ、ダメ？」
あ、あざとい！ でもダメだ、幼馴染として彼には交友関係を広げてほしい。私が沢山の明るい人に囲まれているように、いろんな人がいることを知ってほしい。
「ほんとに授業の準備あるから、もう行くね」
こうして置いていくのはちょっと心苦しいけど……でも、彼がもっと良い人生を歩めるって信じている。
──────────
「1人にされたら……また何も感じられなくなるのに」
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
