9, 風邪ひいた 後編/幼馴染+親友 ページ18
「結構熱かったから多分ちゃんと熱あるよ。保健室行こ？」
彼に支えられて立ち上がった時、数人の女子が教室に入ってきた。先に着替えに行っていた親友と、ほかの友達達だ。
「Aーっ！やっぱり体調悪いんじゃんっ！」
親友が私の机まですっ飛んでくる。
「え、ちょっとA大丈夫？元気ないの？」
他の友達も私の顔を覗き込む。
「実は朝から体調良くなくて、えへへ」
そう言って笑ったつもりだったけれど、上手く笑顔が作れた自信はなかった。
無理しないで、と親友は怒ったが、子犬が吠えるみたいなポップな叱り方で特に怖くない。私は「なんかごめん」中途半端な謝り方をしてしまった。
幼馴染が歩き出す。
「ほら行くよ。歩くのだるいなら、おんぶしようか？」
「それは恥ずかしすぎるから絶対嫌！」
「あはは、冗談だよ。歩けるなら歩いていこう」
「あ、私もついてく！」
親友が保健委員だから！と胸を張ると、幼馴染は片方の眉を上げた。
「授業出なくていいの？」
「いいのいいの、保健委員だし、Aが心配だし、体育はあんまり好きじゃないし」
「最後のそれは私欲じゃん！」
ツッコミをいれつつも、この明るい空気感はありがたい。
廊下は静寂に包まれていて、3人の足音だけが響く。授業がはじまるギリギリなのに廊下にいるって、そわそわして不思議な気持ちだ。平日の休みにお昼の番組を見ている時みたいな。
窓の外では風が強く吹いているらしく、木の葉が激しく揺れていた。
「今日の天気荒れそうだね……外で体育やってる子達、平気かな？」
「雷とか鳴るかなぁ」
親友の発言に思わず顔をしかめる。彼女は「そうだった、ごめん」と言って口元を抑える。
「別に怖くないし……むしろ好きだし」
「ふぅん？そうなんだ？」
私の言葉を聞いて、幼馴染は面白がるように微笑んでいる。
「でも意外だね〜。小さいころは全然平気だったじゃん？」
「昔は平気だったけど……最近見た映画のせいで駄目になったの！」
偶然テレビで放映されていたスプラッタ映画を見て以降、感電がちょっと怖くなってしまったのだ。
「ああ〜……ごめんねA、私もなんというか、うん」
変に気を使うような相槌を打たれ、私は言い返す。
「誰にも言ってない秘密だったのにー！」
私が親友をポカポカ叩くと、彼女は「ごめんごめん、熱あがっちゃうよ」とニコニコするのだった。
──────
「せっかく2人きりだったのに……」
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
