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6, なつまつり/大学生 ページ11

祭囃子に、赤くぼんやり光る提灯は昔から変わらない。今年も変わらず地域祭りは開催された。

「毎年変わらないけど、暑さだけはずいぶん変わったよね……」

今年の暑さはひとしおで、じわりじわりと汗が流れてきた。

 正直、毎年やってるお祭りだから大した用事はない。親友は法事、幼馴染は部活があるからしばらく合流できないし、他の友達もそれぞれグループになっていて誘いづらい。なおさらなんにもない。

 焼きそばのパックと飲み物を持って、もう帰ろうかと思った頃。ふと集会所のことを思い出した。あそこなら空調も効いてる。私はコンクリ作りのオアシスに向かって歩き出した。

 集会所の鍵は空いていたが、人は全然いない。

「お邪魔しまーす……」

誰かしらいないか。あの大学生さんならいつもいるし、今日もいないかな?

 私に勉強を教えてくれる席で、机に突っ伏していた。寝てる……いや起きているみたいだ、私の足音に気がついて彼は顔を上げた。

「誰だ……」

眩しそうに目を細めたその瞬間、いつもの優しい笑顔と違う彼にギャップを感じる。

「えっと、こんにちは。鍵、空いてたので来ました」

「……Aさん!? びっくりした、来てたんだね」

「外が暑すぎて……この集会所は天国ですね」

「わかる。わたあめの屋台が暑すぎて死んだよ俺。ほら、ここ座りな?」

彼はやれやれと言わんばかりに眉を寄せて笑った。この暑さで熱気が籠る屋台の中は大変そうだ。

 お兄さんが言うわたあめ作りは、想像よりハードだった。もっとふわふわしてて楽しいものだと思ってたけど、実際には忙しくて腱鞘炎になりそうだって。

 お祭りを成立させてくれる人達には頭が下がる。やることないとか言っちゃいけないな。いつもありがとうございます。

「さて、そろそろサッカー部終わるかな?」

汗が充分引くまで話し込んでいると、時計の針の進みは早い。幼馴染とはもう落ち合えるだろうか。

「サッカー? ……ああ、あの同級生の子と待ち合わせ?」

立ち上がった私に「待って、Aさん」と彼が声をかける。片手に缶ジュースを持ったお兄さんが片方の眉を上げてニッと笑った。

「向こうから連絡されるまでは、もう少し休憩していきな? 外、暑いからさ」

 正直外で待つのは気が進まない。私は頷いて目の前のジュースに飛びつくのだった。

──────
「じわりと黒い絵の具が滲むように、俺の中に邪な心が芽生えていく」

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設定タグ:ヤンデレ , 夢小説 , 芳一のヤンデレシリーズ   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます!お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです!!ヤンデレ系のお話大好きなんです!!バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます!大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…!ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです!! (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます!なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バニー芳一 | 作成日時:2023年8月4日 11時

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