-1, 親友の距離（裏面） ページ2
私の親友、Aは誰よりも一番可愛い。
Aのこと、なんでも知りたい。プロフ帳を埋めるだけじゃ治まらない、全部を知りたい。だからあの子が家にいるときは、イヤホン越しに声を聴く。
——話は昨晩に遡る。
随分前に彼女の部屋に仕掛けた機械を通し、ほんの少しのノイズとAの声が、生活音が私の耳を癒した。
『……ふふっ』
「あ、笑いをこらえてる」
つい私の口角も上がってしまう。今の私はずいぶん緩んだ表情をしているはず。漏れてくるテレビの音から察するに、バラエティ特番を見ているみたいだ。
本当は、盗聴がだめだってことはわかってる。
親友の事なら何でも知りたいって気持ちがおかしいって気が付いたのは、小学5年生の頃。何でもかんでも知ろうとするの、”重い”って言うんだって。
ドキュメンタリー番組で盗聴器を見た時の、タレントたちの顔は潰れた虫を見るときと同じだった。番組の最後には「お心当たりのある方」向けに警察やいくつかの業者の電話番号が紹介されていた。
私だってAが隠したがってるものや着替えはさすがに見ない。でも、それ以外なら知りたい。
好き。好き。大好き。でも、世間からすれば私はおかしい子。私にとって普通の愛し方は、みんなにとっての迷惑。
それでも、Aは親友でいてくれる。「私、重いかな？」と聞いたあの時。「そんなことないよ」と言ってくれたAこそ私の天使さま！
『あはっあははは！ 〜〜〜っ！』
「あ……録音してあるよね！？」
〇RECと書かれたボタンがチカチカと返事する。ホッとして息を吐くと、天井を仰いだ。
今のは反則！ すずらんの花が揺れるような、星くずから作ったベルを鳴らすようなその笑い声！
スマホの録音データファイルに、107個目の宝物が追加された。スクロールして、再生して、指先で私の知識となった彼女が歌う。夢を見るような心地で私は目を細めた。
「えへへ……A……」
明日、顔を合わせたとき変にニヤついちゃったらどうしよう。今もニヤニヤが止まらない。
朝一番にお笑いの話を振って、笑っても違和感がないようにしなくちゃ。
明日の朝、一緒に出掛けることを考えればまた彼女が恋しくなる。早く明日が来てほしい。
「本当にこの笑い声、可愛いなぁ……。盗聴器越しじゃなくて直接聞ければいいのに」
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バニー芳一(プロフ) - natukiさん» 読んでいただきありがとうございます！お好みのヤンデレがお届けできて恐縮です (3月25日 12時) (
レス) id: e2dede88a8 (このIDを非表示/違反報告)
natuki(プロフ) - すごく面白いです！！ヤンデレ系のお話大好きなんです！！バニー芳一 さん天才ですね✨ (3月25日 10時) (レス) id: 6c526090d7 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - えふあさんさん» 読んでいただきありがとうございます！大学生の病み方は受け入れられるか若干不安だったので、嬉しいです (1月15日 20時) (レス) id: be5118262c (このIDを非表示/違反報告)
えふあさん - 大学生さんのヤンデレが見事わたしの性癖だったのですごい好きです…！ほかの子達のヤンデレも読んでて楽しかったです！！ (1月15日 20時) (レス) id: 1f387bf1d2 (このIDを非表示/違反報告)
バニー芳一 - 碧花さん» 読んでいただきありがとうございます！なかなかない構成ですが、挑んで良かったです (1月13日 23時) (レス) id: e63de7a269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月4日 11時
